熊本県は20日、小型の柴犬をホームページを介して通信販売していた業者(同県菊池市)に対し、特定商取引法違反(誇大広告等の禁止)等が認められるとして、6か月間の業務停止命令と行政指導を行った。
業者は違反を否定しているという。一方、被害にあった人たちが開設した「被害者の会」掲示板には、「全額支払ったのに小犬が届かない」「届かないのでキャンセルしたが返金されない」といった苦情が多数寄せられている。
県の「食の安全・消費生活課」の発表によると、業者はネット上に「星の雫」というショップを開設し、豆柴(小型の柴犬)、すず柴(さらに小型の柴犬)と呼ばれる犬を1匹6~25万円で販売していた。販売に際しては、「すべての犬に血統書がつく」「なるべく客の希望日に犬を引き渡す」「申込み後のキャンセルには状況により1/3~全額を返金する」等とオームページ上で説明していた。しかし、実際はそうではなかったことから、誇大広告にあたると判断された。
では、「星の雫」の実態とはどういうものか。「被害者の会」掲示板や被害者が開設したブログには、その被害実態について多くの証言が寄せられている。
【「被害者の会」掲示板に寄せられた被害報告】
「豆柴 すず柴 ブリーダー被害者の会」掲示板は今年3月9日に開設された。発足の言葉には、豆柴のネット販売を行うブリーダーとして知られ、ネット検索でも上位に入る店で多くの被害が出ていることを指摘し、「被害者が増えないように注意喚起したい」「情報交換の場になればいい」と書かれている。
以後7か月以上にわたってここに寄せられた多くの書き込みは、異口同音に次のことを訴えている。「全額を振り込んだ後、子犬引き渡しの前日に、咳と鼻水が出るため受け渡しを延期するというメールが来る」「治り次第送ると言われながら、数週間~数か月待たされる」「子犬の病状について説明を求めてもはぐらかされ、獣医の診断書を希望しても断られる」「契約解除を申し出ると、購入者都合によるキャンセル扱いで返金を拒まれる」「代替犬を送ってもらう話になり、さらに待たされる」「今すぐ引き渡せる子犬を希望すると追加代金を要求される」「やっと送ってもらった子犬は体調不良で通院や手術が必要になる」「ワクチン接種の証明を希望するも断られる」「小型犬のはずが、ふつうの柴犬の大きさに成長する」。
これらの訴えからは、愛犬家の思いを手玉に取る悪徳業者の手口が浮かび上がってくるようだ。
県消費生活センターによると、「星の雫」に関しては、23都道府県から58件の苦情が寄せられているといい、これらの情報をもとに県が調査中だという。行政処分は行われたが、業務停止命令の6か月間が終了した後はどうなるのか。キャンセル後返金してもらえない人、全額を振り込んで子犬を待ち続けている人はどうなるのか。解決の糸口はまだ見えてこない。
(2009/10/22 ネットセキュリティニュース)
■通信販売事業者に対する業務停止命令等の発出について(熊本県)
http://www.pref.kumamoto.jp/site/shouhiseikatsu/shobun-hoshinoshizuku.html
■業務停止命令について(星の雫)
http://www.hoshino-shizuku.net/newpage35.html