警察庁は、児童ポルノの根絶に力を入れている。サイバーパトロールや買い受け捜査の強化、児童ポルノ愛好者グループの徹底検挙、児童ポルノ掲載アドレスリストの作成や、それを活用した流通防止対策、そして被害児童の発見保護に向けた画像分析態勢の構築や被害児童支援のための対策などなど。
しかし、この種の犯罪はなかなか表に出にくい。幼い子どもは自分が犯罪被害者であることすら認識していないこともある。根絶のためには、隠ぺいされている児童ポルノを探し出すことが第一歩だ。そのため、警察庁は、児童ポルノという犯罪を発見したら通報するよう呼びかけている。通報手段は複数用意されている。
■発見したら連絡したいネット通報、ダイヤル通報
インターネット上で児童ポルノを発見したら、最寄りの警察署、またはネットの違法・有害情報の通報を受け付ける機関である「インターネット・ホットラインセンター」に連絡しよう。
インターネット上に限らず、児童ポルノの提供、製造、公然陳列等の事件情報を持っている場合は、「匿名通報ダイヤル(フリーコール:0120-924-839)」へ連絡を。今年7月1日からはネット通報も受付を開始している。通報後に事件が解決すると、警察庁がその通報の貢献度を判断し、貢献度に応じて最高10万円の情報料が通報者に支払われるという。
警察庁は、9月15日に「NO!! 児童ポルノ」というサイトをオープン。被害にあわないための注意を喚起したり、インターネット・ホットラインセンターにリンクさせて通報を呼びかけている。自治体でも独自の対策をとっているところがある。島根県では、児童ポルノの根絶に向けた施策を効果的に行うため、9月15日に児童ポルノに関する情報を受けつける独自の通報メール窓口「NO!児童ポルノメール」を開設している。
■11月は「児童虐待防止推進月間」~オレンジリボンをシンボルに活動
厚生労働省は、児童虐待防止法が施行された11月を2004年度から「児童虐待防止推進月間」と位置づけ、オレンジリボンをシンボルにした児童虐待防止の広報・啓発活動などを行ってきた。今年もさまざまな取り組みが予定されている。
これに先立つ活動として、10月1日から「児童相談所全国共通ダイヤル」(電話番号0570-064-000)がスタートしている。虐待通報や子育て相談など、全国統一番号に電話をすると、最寄りの児童相談所につながる仕組みだ。固定電話からなら最寄りの児童相談所に自動転送され、携帯電話からかけた場合はガイダンスに従って最寄りの児童相談所につながる。
子どもを性の対象としたり商品化したりする事件の件数、内容の深刻度は増すばかりだ。インターネットを児童ポルノ流通の媒体におとしめるのも、子どもを守るツールとして役立てるのも、利用者次第であることを肝に銘じたい。
(2009/10/08 ネットセキュリティニュース)
■児童ポルノの根絶に向けた重点プログラムの策定について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen42/shiryou.pdf
■インターネット・ホットラインセンター
http://www.internethotline.jp/
■匿名通報ダイヤル(警察庁)
http://www.tokumei.or.jp/
■NO!! 児童ポルノ(警察庁)
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/no_cp/index.html
■島根県NO!児童ポルノメール(島根県)
http://www.pref.shimane.lg.jp/police/04/c_porno/no-porno.html
■平成21年度「児童虐待防止推進月間(11月)」の実施等について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/09/h0928-2.html