インターネットを利用した人権侵犯事件が、ここ数年急激な増加傾向を示している。法務省は26日、昨年1年間に全国の法務局などの人権擁護機関が救済手続きを行った人権侵害事件の状況を発表した。
発表によると、新規に救済手続を行った件数は、前年の2万1412件から194件減った2万1218件(0.9%減)だったのに対し、インターネットを利用した人権侵犯事件は515件から大幅に増加し、過去最多の786件(52.6%増)となった。
内訳は、プライバシー侵害が391件(153件・64.3%増)、名誉毀損が295件(119件・67.6%増)となっており、この2つで全体の87.3%を占めている。また、特定の地域が同和地区であるといった書き込みなどの差別助長行為は24件(5件・26.3%増)あった。
これらのうち,人権擁護機関がプロバイダーなどに対して削除要請を行ったものは、前年から6件増えた81件(8.0%増)。中には、実名やメールアドレス、ウソの私生活を書き込まれ、それを見た交際相手の両親から結婚を反対されたケースもあったという。
人権侵犯事件全体では、このプライバシー侵害や誹謗中傷などのプライバシー関係のものが8.9%を占める。総件数は、前年から242件増加した1869件だが、このうちインターネットなどによるものが746件あり、ネット分の増加は前年から286件と、より大きな値を示しているのが特徴的だ。
(ネットセキュリティニュース 2010/03/29)
■平成21年中の「人権侵犯事件」の状況について(法務省)
http://www.moj.go.jp/PRESS/100327-1.html