警察庁は3月4日、2009年のサイバー犯罪(情報技術を利用する犯罪)の検挙状況および相談状況を発表した。サイバー犯罪の検挙数は6690件で、過去最多となった。2005年からの5年間でみると、約2倍に増加している。
■不正アクセスも過去最多に(45.6%増)
「不正アクセス禁止法違反」での検挙は2534件で、前年より794件増え(45.6%増)、2000年の不正アクセス禁止法施行後、最多となった。「コンピュータ又は電磁的記録を対象とした犯罪」は195件と、前年より247件減少(21.1%減)している。
■ネット利用のオークション詐欺は5割減、児童ポルノは倍増
「ネットワーク利用犯罪」での検挙は3961件で、前年の4334件から8.6%減少している。これにはインターネットオークションを利用した詐欺が昨年の1140件から522件に減少(54.2%減)したことが貢献しており、オークションの大手事業者が「受取後決済サービス」などを導入したことが功を奏したという。
他に、「児童買春及び青少年保護育成条例違反」が944件から742件に、「出会い系サイト規制法違反」が367件から349件に減少している。逆に、「児童ポルノ」と「著作権法違反」は増加が著しく、「児童ポルノ」は254件から507件へ99.6%増、「著作権法違反」は144件から188件に30.6%増となっている。
■サイバー犯罪等に関する相談で最も多いのは「詐欺・悪質商法」
都道府県警察の相談窓口で受理したサイバー犯罪等に関する相談の件数は8万3739件で、前年の8万1994件より1745件(2.1%)増加している。オークションに関する相談が7859件と、前年より1131件(-12.6%)減少する一方、「詐欺・悪質商法」と「迷惑メール」は増加している。「詐欺・悪質商法」は4万315件で前年より2,521件(+6.7%)増え、「迷惑メール」は6538件で前年より500件(+8.3%)増えた。「詐欺・悪質商法」のうち、2万5856件(64.1%)が架空請求メールに関するものだった。
■「自殺予告」への対応:救護等により命を取りとめた人々も
インターネット上での自殺予告に対し、警察はプロバイダ等から情報開示を受け、防止や救護措置を行っている。2009年中に都道府県警察が対応した件数および人数は、223件・228人で、前年に比べ43件・32人増えている。自殺のおそれのない、いたずら等は104人、書込者が判明しなかったものは35人。実際に自殺を図った人は11人で、うち2人が死亡しているが、救護等により命を取りとめた人が9人いる。自殺のおそれのある78人に対しては、本人への説諭、家族への監護依頼などの自殺防止措置を実施した。
■違法情報の放置は管理者の刑事責任追及も視野に
警察は今後、「サイバー犯罪に強い社会づくり」を目指し、取締りの強化および国民・事業者に対する注意喚起を行っていくとしている。具体的には、児童ポルノなど悪質事犯に重点をおいた取締りと被害防止対策を進め、違法情報の投稿者だけでなく、違法な投稿や書き込みを認識しつつ放置しているサイト管理者の刑事責任追及も視野に入れ、捜査を行っていく。
■平成21年中のサイバー犯罪の検挙状況等について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h21/pdf54.pdf
(2010/03/05 ネットセキュリティニュース)