「クレジットカード現金化」の相談事例が増えているとして、国民生活センターは今月7日、消費者に注意を喚起する文書を公表した。
「クレジットカード現金化」とは、クレジットカードを持つ個人に、そのショッピング枠で商品等を購入させ、業者が購入額より下回る価格で買い取る形で現金を渡す、というものだ。同センターが公表した注意喚起文書では、消費者が70万円分の商品をカードで購入し、業者に現金40万円で買い取られた例が紹介されている。消費者は手っ取り早く40万円の現金を手にすることができるが、70万円の支払い(借金)が残ることになる。なかには商品を買い取ってもらえず、商品の返却や解約にも応じてもらえず、とくに必要もない商品とカード支払いだけが残る例もあるという。
この「クレジットカード現金化」は巧妙な手口で消費者を誘い込むため、消費者は後になって事態に気づき、高額なカード支払いに頭をかかえることになる。
国民生活センターや消費生活センターで、こうした「クレジットカード現金化」に関して受け付けた相談件数は年々増加傾向にあるという。2005年度から2009年度の約5年間で696件だったものが、2009年度に受け付けた相談件数は2010年3月26日現在で207件あり、前年度の同時期と比較して約1.7倍の増加になっている。
消費者が「クレジットカード現金化」を利用するきっかけは、街中の看板、新聞や雑誌広告、投げ込み広告などさまざまだが、24時間いつでもアクセスできるインターネットはなかでも要注意だ。ホームページ、メール等での勧誘に気をつけていただきたい。
●ネットの罠と詐欺メールに注意
試しに「クレジットカード現金化」というキーワードで検索してみると、「クレジットカードを持っていれば誰でも利用できる」「ホームページから24時間いつでも申し込める」など手軽さをうたった業者サイトが続々と現れ、利用体験者の「おすすめ業者」紹介サイトなどもあるほどだ。
編集部ではこのほかにも、「クレジットカード現金化」利用を誘う迷惑メールや、キャッシングローンを装った迷惑メールを確認している。メールに記載されたURLをクリックすると、甘い言葉やおいしい話を並べた業者のサイトに飛ぶことになる。
宣伝文句に共通しているのは、「クレジットカード現金化」が、手軽・安全・低金利の「キャッシングローン」と同じであるかのような文言だ。前述のように、実際には高い買い物であってキャッシングローンではない。だが、借金の履歴を残したくないからキャッシング枠を使いたくない、あるいはすでに限度額いっぱい使ってしまった、とにかく当座の現金が欲しいなどなど、今この瞬間に現金が欲しい人の目には、魅惑的に映るだろうし、リスクを考える余裕さえないのかもしれない。
架空請求詐欺の被害予防と同様、この手のメールは無視するのが一番であることを強調しておきたい。
●トラブルが生じたら相談を
クレジットカードの現金化を誘うネットやメールには「合法」という言葉が用いられている場合もある。しかし、カード会社に購入代金を支払う前に品物を換金することは、カード規約に違反している。そもそも「クレジットカードの現金化」はやってはいけないことなのだ。やってはいけないことをやってトラブルが生じると、「誰にも相談できない」というもう1つの罠に陥ってしまいがちだ。だが、決して一人で抱え込まず、最寄りの消費生活センターや弁護士会等に相談していただきたい。
(2010/04/23 ネットセキュリティニュース)
■ 「クレジットカード現金化」をめぐるトラブルに注意!-利用者自身も思わぬ大きなトラブルに巻き込まれるおそれが-(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100407_2.html
■「クレジットカード現金化」をめぐるトラブルに注意!-利用者自身も思わぬ大きなトラブルに巻き込まれるおそれが-(PDF:詳細報告)(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100407_2.pdf
■クレジットカードのショッピング枠の現金化にご注意ください(日本クレジット協会)
http://www.j-credit.or.jp/customer/attention/attention_05.html