警察庁は19日、「振り込め詐欺(恐喝)」の今年3月の認知・検挙状況を発表した。振り込め詐欺の被害は全国で、前月の2月よりも223件多い746件で、被害金額も前月より約1億8344万円増えて7億5491万6611円に上った。
とくに目立ったのが、インターネットの有料サイト利用料金や借金返済・債権回収などの名目で、身に覚えのない請求をして金をだまし取ろうとする「架空請求詐欺(恐喝)事件」の急増だ。事件数および被害金額が、いずれも前の月から倍増している。
●前月から倍増、「オレオレ詐欺」事件数も上回る
架空請求詐欺事件の被害金額は2億6146万5758円で、事件数は367件。前月の183件の倍以上だ。この事件数は、これまで振り込め詐欺の主役だったいわゆる「オレオレ詐欺」事件の321件も上回っている。増加率を見ても、これまでは10~20パーセント程度で推移してきたので、「倍増」が目を引く。
詐欺の手口としては、「有料サイト利用料金名目」が241件と最も多く、65パーセントを占める。被害者の年齢は、男女とも20歳代以下、30代、40代が上位3位で、あわせると全体の73パーセントを占めている。
・総額およそ999万円をだまし取られた会社員
有料サイト利用名目の典型的な手口は、利用料金や延滞金を支払え、払わないと裁判になるかもしれないなどと脅して不安をあおり、現金を振り込ませるというもの。3月にはこうした手口で群馬県前橋市の男性会社員(44歳)が、計5回、総額およそ999万円をだまし取られている。
・対策は「完全無視」が一番
こうした被害を避けるには、最初にメールや電話を受信したときに、身に覚えのない場合は完全に無視すること。連絡をよこせというメールや電話に応じると、言葉巧みにだまされて金を巻き上げられてしまうおそれがある。「もしかしたら」と請求事項に不安がある場合でも、相手に直接連絡することはせず、最寄りの警察や消費者センターなどに相談することだ。
このほか、いわゆる「オレオレ詐欺」事件は前月に比べて50件増の321件で、被害額4億5351万5133円も前の月よりも約5000万円増加しており、全体の約60パーセントを占めている。また、融資をすると偽って申込者に保証金を振り込ませる「融資保証詐欺」事件は、事件数が13件減少して40件に、被害金額も約1200万円弱減少して2119万7075円となった。社会保険事務所員や自治体職員、税務署員を装い、ATMを操作させて金をだまし取る「還付金詐欺」事件は、事件数は2件増の18件で、被害金額は約400万円増の1873万8645円だった。
(2010/04/23 ネットセキュリティニュース)
■「振り込め詐欺(恐喝)」の認知・検挙状況等について(平成22年3月)(警察庁)
http://www.npa.go.jp/sousa/souni/furikomesagi_toukei.pdf