警察庁は13日、2009年の犯罪情勢をまとめた報告書を公開した。本年からは、発生場所の区分に「漫画喫茶・インターネットカフェ」(以下ネットカフェと記す)が新たに追加されており、ネットカフェの犯罪状況を垣間見ることができる。
昨年1年間に全国の警察が認知した刑法犯の事件数は、170万3044件。うちネットカフェで発生したものは、4111件だった。内訳は、窃盗犯が全体の78.3%にあたる3220件。次いで、詐欺などの知能犯が663件(16.1%)、暴行や傷害などの粗暴犯が48件(1.2%)、わいせつなどの風俗犯が27件(0.7%)、殺人や強盗などの凶悪犯が17件(0.4%)、その他の刑法犯が136件(3.3%)。窃盗犯は、認知件数全体でも76.3%と最多を占めており、占有率も同程度であるのに対し、認知件数全体では3.1%だった知能犯が、ネットカフェでは16.1%を占めているのが特徴的だ。
ネットカフェで発生した事件は、認知件数全体の0.2%に過ぎないが、1店舗あたりの発生率に換算すると、1.4件という数値にになる(店舗数は日本複合カフェ協会の2009年の公表値より)。国や業界団体などが公表している昨年の施設数を元に1店舗あたりの発生率を算出すると、同じ生活環境営業に分類される深夜飲食店や風俗営業店が0.1件未満、カラオケボックスが0.3件、ぱちんこ屋・まあじゃん屋などが0.8件、発生率の高いゲームセンターでも1.1件であり、ネットカフェ発生率が意外と高いことがわかる。
全国一の店舗を抱える東京都では、ネットカフェを利用したハイテク犯罪などを防止し、ネットカフェを安全に安心してを利用できるよう、7月1日から「インターネット端末利用営業の規制に関する条例」を施行する。ネットカフェの営業には公安委員会への届出が必要となるほか、利用者の本人確認と本人確認記録の作成・保存が義務付けられる。違反業者には、公安委員会が必要な指示を行うほか、営業停止命令や罰則規定も設けられている。
(2010/05/24 ネットセキュリティニュース)
■平成21年の犯罪情勢[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/toukei/seianki8/h21hanzaizyousei.pdf
■インターネット端末利用営業の規制に関する条例の制定について(警視庁)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/in_cafe/in_cafe_jorei.htm