最初の攻撃で騒動の仕掛け人はすぐに特定され、ウイルスの開発者らしき名前も判明(どちらもその通りの結果だった)。振り込んでしまった被害者が届け出れば、詐欺成立で事件解決も時間の問題と思われていたが、事件はその後、なんの進展もないまま年を越してしまう。
■第2期「Kenzero」騒動
事件がすっかり忘れ去られようとしていた今年3月、「Kenzero」が再びファイル共有ソフトのネットワークに放流された。手口は前回と全く同じだが、今回はアダルトゲームのほか、アプリケーションやセキュリティソフトなど、計40種類を超えるソフトウェアを偽装。「ICO・国際著作権機構」と称するさらしサイトへの掲載は、3月18日夜から24日未明までえんえんと続き、のべ5000人を超える被害者の情報が掲載された。慌てて削除を申請すると、和解金名目で5800円の振り込みを要求するメールが届く。手口ばかりか、振り込み先に指定された口座も前回と同じものだった。
この騒動でも、実際に振り込んでしまった被害者がいたようで、息子が感染して請求額を振り込んでしまったという母親からの相談が、Q&Aサイトに投稿されていた。ほかにも、掲載情報に含まれていた「最近使ったファイルの一覧」から、中学校の先生が生徒の個人情報を流出させたと勘違いされて報道される一幕もあった。
「Kenzero」騒動の仕掛け人は逮捕されたが、それは氷山の一角に過ぎない。情報流出、アカウント窃取、ボット化、セキュリティソフトの押し売り、大切なファイルの破壊。ネット上には、さまざまな悪事をもくろむ攻撃者たちが渦巻いている。得体の知れないファイルを開くということが、極めてハイリスクな行為であることを、どうか肝に銘じておいていただきたい。
(2010/05/28 ネットセキュリティニュース)
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