警察庁が発表した2009年の「サイバー犯罪の検挙状況」をみると、2009年のネット利用犯罪は前年の4334件から3961件に減少している。オークション利用詐欺が半分以下に減少したためで、これはオークション大手事業者が「受取後決済サービス」などを導入したことが功を奏したという。
しかし、減ったとはいえ、ネット利用犯罪が根絶されたわけではもちろんない。最近の報道から2件の事例をみてみると。盗んだカーナビを換金しやすいネットオークションで売りさばいた事件では、被害件数は少なくとも2000件、転売益は1億円にのぼるという。チケット転売では、総額3400万円分のチケットがネットで不正入手され、掲示板を利用して売却された。先月18日には、ネットオークションでチケットを架空出品した男に有罪判決が出されている。
■7月5日:不正入手したチケットをネット掲示板で転売、東京都の男を逮捕
警視庁ハイテク犯罪対策総合センターと大崎署は7月5日、インターネットのチケット販売サイトでチケットを不正入手したとして、東京都の会社役員の男(47歳)を、電子計算機使用詐欺容疑で逮捕した。容疑者は昨年11月、チケット販売サイトで他人名義のクレジットカード情報を入力し、「劇団四季」のチケット2枚を2万円で入手。これをネット掲示板を利用して1万2千円で転売した疑い。同様の手口で、これまでに約180件、総額約3400万円のチケットを不正購入し、転売していたとみられる。転売した相手には他人名義の口座を指定して代金を振り込ませていたが、この口座の名義人も犯罪収益移転防止法違反(無償譲渡)容疑で、逮捕されている。
■6月28日:盗品カーナビをオークション転売、名古屋と滋賀の男を逮捕
愛知県警と静岡県警は6月28日、盗品のカーナビをネットオークションで転売していたとして、名古屋市の自営業の男(55歳)と栗東市の会社社長の男(45歳)を、それぞれ盗品等有償譲り受けの疑い、盗品等処分あっせんの疑いで逮捕した。2人は今年2月、ブラジル人の窃盗グループが盗んできたカーナビを盗品と知りながら買い取り、ネットオークションに出品して売却した疑い。報道等によると、2人はこれまでに少なくとも計2000台以上を売りさばき、1億円近くの転売益を得ていたという。
ネットオークションでは出品されたカーナビの製造番号が確認されないため、盗品の転売にかっこうの場所となっていたようだ。オークションサイト運営大手は出品者に製造番号の記載を義務づけることを検討しているという。
■6月18日:ネットオークションでEXILのチケットを架空出品した男に有罪判決
ネットオークションに音楽グループEXIL(エグザイル)のコンサートチケットを架空出品し現金をだまし取ったとして、今年2月に詐欺容疑で逮捕された岐阜市の自営業の男(41歳)に、新潟地裁は6月18日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑・懲役2年6月)の有罪判決を言い渡した。被告は上記の手口で、新潟市などの落札者から計約68万円をだまし取っていたという。
(2010/07/08 ネットセキュリティニュース)
・平成21年中のサイバー犯罪の検挙状況等について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h21/pdf54.pdf