警察庁は16日、「インターネット・ホットラインセンター」の2010年度上半期の運用状況を発表した。同センターは2006年より警察庁からの委託業務として、ネット上の違法・有害情報などの通報を受理し、それらの情報を分析して警察へ通報したり、サイト管理者やプロバイダーへ削除依頼するなどの業務を行っている。
発表によると、同センターが今年度上半期に受理した通報件数は7万8130件で、前年同期比25.1%増を示した。また、これらの通報内容を分析した結果、違法・有害情報にあたると判断されたのは2万3983件(前年同期比70%増)で、過去最多となった。<br.
●「違法情報」と検挙件数
違法情報とは児童ポルノ関連などインターネット上での流通が法令に違反する情報を指し、センターから警察に通報される。センターが受理した違法情報に該当する通報1万8542件のうち、海外サーバーに蔵置された5448件および通報前に削除された952件を除く、1万2142件が警察に通報され、この通報を元に226件が検挙された。通報数と検挙件数には大きな隔たりがあるが、検挙数は前年同期比334.6%増で、過去最多を記録している。
検挙事例のなかで最も多いのは児童ポルノ関連事件の117件(前年同期比1571.4%増)、次いで、わいせつ物関連事件54件(同260%増)、出会い系サイト規正法関連事件38件(同26.7%増)という順だ。
●「有害情報」「その他の情報」
有害情報とは、違法行為(殺人など)を請負うなどとする情報や集団自殺を呼び掛ける情報などを指し、今期の通報は5441件(同53.9%増)あった。「その他の情報」は、違法情報、有害情報に分類されない情報で、知的財産権の侵害情報や殺害予告・爆破予告などが含まれる。今期の通報は6万2284件(同16.7%増)となった。
●違法情報の21%、有害情報の33%は削除されず
センターからサイト管理者等に対し、違法情報として9602件、有害情報として1477件の削除依頼が行われたが、実際に削除されたのは、違法情報は7588件(削除率79.0%)、有害情報は994件(削除率67.3%)だった。
違法情報が掲載されたサイトの57.4%、有害情報が掲載されたサイトの53.6%は、サイト内にメールアドレス等の連絡先を掲載しておらず、連絡先不明だったという。こうした連絡先不明のサイトについては、上位のサーバー管理者などに削除依頼を行っている。
警察庁は今後の課題として、サイバー犯罪の取締体制の整備などとともに、違法・有害情報の削除を徹底することをあげている。そのために、サイト内に連絡先を明記するなど、センターとインターネット関係事業者が緊密に連携するための仕組み等を検討していくとしている。
(2010/09/24 ネットセキュリティニュース)
■平成22年上半期の「インターネット・ホットラインセンター」の運用状況について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h22/pdf03-1.pdf
■インターネット・ホットラインセンター
http://www.internethotline.jp/index.html