「ペニーオークション」のトラブルが急増しているとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。
従来のネットオークションは、運営業者がオークションの場を提供し、商品の出品者と入札者がそこに参加する。入札には手数料はかからず、出品や落札額に応じた手数料を運営業者が徴収するのが一般的だ。これに対しペニーオークションでは、運営業者自らが商品を出品する。入札者は、入札のたびに手数料を支払って入札する。
1回の入札にかかる費用は数十円程度だが、入札は1円単位などの小刻みな単位でしかできず、1回の入札ごとに手数料がかかるため、運よく落札できても手数料が高額になってしまったり、落札できずに高額な手数料だけを支払う結果になったりと、ギャンブル性が非常に高い。
海外で始まったこのペニーオークションは、一昨年から国内でも運営するサイトが出始めが、特に増えたのは昨年から。センターに寄せられる相談もこれに伴い急増しているようで、2009年度の19件に対し2010年度は173件の相談があったという。
センターに寄せられた相談事例には、「入札に没頭し、手数料ばかりかかってしまった」「途中でやめるとポイントが無駄になると思い、入札し続けた」「落札したものの、高額請求になった」というような、システムの仕組みをよく理解せずに参加したとみられるもののほか、「サクラの可能性が」「落札したが、出品商品が未入荷で取り消しに」といったものも挙げられている。
■次々と閉鎖するペニーオークション
ペニーオークションにまつわる問題がメディアで取り上げられ始めた昨秋以来、閉鎖するサイトが目立って増えている。編集部が昨春から収集していた209サイトを再調査したところ、3割近い59サイトが閉鎖、閉鎖予定、休止中という状況だった(1月末現在)。
59サイト中42サイトは、昨秋以降に終了したもので(2月終了予定を含む)、最も多かった先月には、17サイトがサービスを終えた。閉鎖の理由として「社会的な情勢変化により、サービスを継続することが困難」としているサイトがいくつかあったのが印象的だ。
相次ぐサイトの閉鎖に伴い、新たな問題も浮上している。ペニーオークションの落札手数料は、「ポイント」や「コイン」などと呼ばれるサイト内でのみ有効な通貨で支払う。参加者は、このコインを予めまとめて購入するのだが、購入済みのコインは未使用であってもたいてい返金することができない。
撤退業者の中には、返金を受け付けているところもあるが、多くは規約を盾に返金には応じていない。撤退サイトの大半が昨年、それも春以降に始めたばかりのサービスであり、サービス開始からわずか数か月での閉鎖。中には、告知もせずに、いきなり消滅してしまったサイトもある。
(2011/02/02 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・入札のたびに手数料が…!“ペニーオークション”のトラブルが急増(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20110124_1.html