国民生活センターは16日、「アダルトサイトの請求画面がパソコンの画面に張り付いて取れない」という相談が急増しているとして注意を呼びかけた。
アダルトサイトにアクセスしたところ、意図しないのに登録が完了してしまい、利用料金を支払うようにという請求画面が表示されるのは、いわゆるワンクリック詐欺の常套手段だ。こうした不当な請求には応じる必要はない。だが、無視しようにも無視できないのが、同センターに寄せられた相談のように「請求画面が消えない」ケース。ワンクリックウエアと呼ばれる不正プログラムをユーザーのパソコンに仕込んで請求画面を張り付かせ、心理的に追い詰めて支払わせようとする手口だ。
ワンクリックウエアはユーザー自身がクリックしてダウンロードするよう仕向けられている。クリックの罠は年齢や規約同意などの確認画面に仕掛けられていたり、動画を再生しようとしてサムネイルのボタンをクリックするとダウンロードする仕掛けになっていることが多い。この段階で「セキュリティの警告」ダイアログボックスが表示されるはずだが、警告を無視して「保存」や「実行」を押してしまうとワンクリックウエアを自らダウンロードすることになる。
症状としては、請求画面が表示されたままになり、閉じようとしても閉じることができない。たとえ閉じてもまた開いて、消すことができない。仕方なくパソコンを再起動しても、また請求画面が出て来る。これは、Windowsの起動時に自動的に実行されるように、ワンクリックウエアがシステムに登録されてしまっているためだ。
同センターによると、全国各地で受け付けたこのような相談事例は、昨年度(9年4月~10年3月)の年間9339件に対し、今年度は2月8日現在ですでに1万9694件(前年同期5166件)と急増しており、その中には未成年の高校生からの相談事例もあるという。
こうした被害にあわないためには、どんな確認画面でも安易にクリックしないというのが基本だ。「保存」をクリックするのは「プログラムのダウンロード」をすることになり、「実行」を押すと、直接「インストール」することになる。セキュリティ警告の画面が表示されたら、それ以上先には進まずに「キャンセル」するというのが危険回避のポイントだ。ここで引き返せば消えない請求画面は回避できるはず。
こうしたことから同センターは、アダルトサイトから安易にプログラムのダウンロードやインストールを行わないようにと注意を促すとともに、未成年のパソコン利用に対しては、フィルタリングソフトの導入などの対策を呼びかけている。なお、張り付いた請求画面を削除する方法については、情報処理推進機構(IPA)のホームページを参考にするように助言している。
(2011/02/22 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・アダルトサイトの請求画面がパソコン画面に張り付いて取れない!(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20110216_1.html
・【注意喚起】ワンクリック請求に関する相談急増!
パソコン利用者にとっての対策は、まずは手口を知ることから!(IPA)
http://www.ipa.go.jp/security/topics/alert20080909.html