兵庫県警生活経済課と生田署は1日、経営するホテルの宿泊客にゲームソフトを無断で貸し出したとして、神戸市兵庫区の会社役員の男(23歳)を著作権法違反(上映権の侵害)容疑で逮捕した。
コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)などの発表によると、逮捕容疑は、昨年9月9日から11月25日までの間、4回にわたり、神戸市中央区のホテルの客室2か所で、Wii用の「マリオカートWii」やPlayStation用の「バイオハザード5」など4作品を客4人に無断で貸し出し、テレビで上映した疑い。
「上映権」は、著作物を公に上映する権利のことで、もともとは映画の無断上映を禁止する目的で定めたもの。2000年に施行された改正法からは、この上映権のおよぶ範囲が拡大され、ゲームや写真、文書などすべての著作物が対象になった。
店頭でのゲームのプレイやプロモーションビデオの再生、講演会での写真や切り抜きのプロジェクタ投影といった、著作物をスクリーンやテレビ、パソコンのディスプレイなどに映写する行為は、営利を目的としない場合を除いて権利者に無断で行うことはできない。ネットカフェやまんが喫茶で行われているゲームの貸し出しについても同様だが、これに関しては、日本複合カフェ協会がそのための許諾システムを構築している。
ACCSの発表によると、昨年8月に生田署の署員が同ホテルの立ち入り調査を行った際に、家庭用ゲーム機とソフトが置かれていることを確認し、ACCSを通じて著作権者に連絡。逮捕に先立ち、先月11日に行われた家宅捜索では、ゲームソフトなど約70点が押収された。
ACCSの調査では、客室にはゲームソフトのリストを掲載した「無料レンタルアイテム」という冊子が置かれており、客がフロントに電話で希望のソフトを注文すると、従業員が客室にゲーム機やソフトを持参していたという。
ゲームソフトの無断貸出でホテルが摘発されるケースは極めて珍く、摘発に至る過程も不自然だが、摘発されたホテルの実態がラブホテルであることが分かると理解しやすい。
昨年7月、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の施行令が改正され、今年1月に施行された。今回の改正では、出会い系喫茶が同法の対象に加えられたほか、いわゆる「偽装ラブホテル」対策としてラブホテルの適用範囲が拡大され、厳しく規制されることになった。
(2011/02/02 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・ホテル客室でゲームを無断上映、ホテルの役員男性を逮捕(ACCS)
http://www2.accsjp.or.jp/criminal/2010/1030.php