迷惑メールは多い時にはメール全体の8~9割を占めるといわれ、とりわけ数で目立つのが、国内ものでは出会い系、海外ものではバイアグラなどのED薬だ。どちらも数の多さ以外に普段はあまり話題になることないが、時おり変わったキャンペーンで注目を集めることがある。
動画サイトYouTubeの「運営から」と題した迷惑メールが、先々週の週末から大量にばら撒かれた。差出人は「YouTube Service」と名乗り、youtube.comのメールアドレスを記載している。編集部では、27~28日にかけて、次のような件名のメールが飛来しているのを確認している。
YouTube Administration sent you a message: Illegal video warning
YouTube Administration sent you a message: Your video has been approved
YouTube Administration sent you a message: Your video on the TOP of YouTube
投稿動画に対する警告や承認、トップ掲載を知らせるメールらしく、本文にはYouTubeのロゴをあしらい、それらしい動画のURLが記載されている。ところがこのメールは、HTML形式になっており、実際のリンク先は、YouTubeとは無関係の一般のWebサイトだ。このリンク先から、5基のサーバーで構成されたサーバーにリダイレクトされ、「Tronto Drag Store」や「Canadian Famiry Pharmacy」「Canadian Neighbor Pharamcy」といった名前の、ED薬の販売サイトが現れる。
同じ時期には、ED薬販売をうたったお馴染みの迷惑メールも大量にばら撒かれており、その中には、同じサーバー群を販売サイトに使用しているものも多数ある。ところが、あるトラフィック解析サイトによれば、それらはほとんど無視されているが、YouTubeの運営をかたる、このメール経由でのアクセスだけが突出している。それなりの集客効果があったようだ。
今回に限らず、この手のキャンペーンはメールもサイトも非日本語圏を対象としているため、国内のユーザーが訪問してしまうケースは少ないと思われる。しかし、中には日本製薬工業協会(JPMA)の偽のライセンスを掲示したり、「Canadian Pharmacy(カナダ薬局)」のように日本語に対応したものもあるので、十分注意していただきたい。
これらは営業場所の定まっていない神出鬼没の薬局で、あちこちで設営されては消えるということを繰り返している。自身が使用する医薬品に関しては、基本的に海外から自由に購入できるが、この手の薬局では、商品が送られてこない可能性もある。
また、販売している製品には偽造品も多く、期待する効果が得られなかったり、成分の過剰摂取や異なる成分の混入などによる健康被害が懸念される。たとえば今回のケースでは、国内で販売されている正規のシアリス錠剤が、5mg/10mg/20mgの3種類、海外では2.5mg錠を加えた4種類だけなのに対し、同サイトでは2.5mg~200mgまでの錠剤を販売していた。バイアグラやレビトラも同様で、正規品ではないことが分かる。
偽ED薬をめぐっては、健康被害の報告もあがっており、個人輸入による安易な使用は避け、医師の診断のもとに正規品を適正に服用していただきたい。
(2011/05/31 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・YouTubeからの警告を騙るスパムキャンペーンに注意(マカフィー)
http://www.mcafee.com/japan/security/mcafee_labs/blog/content.asp?id=1231
・偽YouTube管理者メールから誘導される「バイアグラ」販売サイト(G DATA)
http://www.gdata.co.jp/news/detail/226
・医薬品や化粧品などの個人輸入について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/0104/tp0401-1.html
・模造医薬品による健康被害に対する注意喚起(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001agwf.html
・模造医薬品による健康被害に対する注意喚起について(第2報)模造医薬品の分析結果 シルデナフィル検出(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dl4u.html