ウイルス作成罪の新設などを盛り込んだ「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(サイバー刑法)が6月17日、参院本会議で賛成多数で可決され、成立した。施行時期は公布後20日で、7月中とみられる。
新設されたウイルス作成罪は、正当な理由なく、人のコンピューターで実行させる目的で、ウイルス(不正指令電磁的記録)を作成・提供・共用した場合、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科される。また、同様にウイルスを取得したり保管した場合には、2年以下の懲役または30万円以下の罰金と定められた。ウイルス対策ソフト開発のための作成や研究機関への提供およびバグなど正当な理由がある場合や偶発的なウイルス発生の場合には、罪に問われない。
これまでは、ウイルスを作ったり、メールで送ったり、サイトで配布するなどしてばら撒いても、適用できる法律がないため、感染被害を未然に防ぐことができなかった。ウイルスに感染して何らかの実害が出てはじめて取締りの対象となるが、不正アクセス禁止法違反や器物損壊罪、著作権違法、電子計算機損壊等業務妨害罪など、そのつどさまざまな角度から適用できる法律を探すしかなかった。今回の刑法改正により、ウイルス作成・提供・共用を処罰の対象としたことで、被害が発生しなくても取り締まることができる。
このほかに、わいせつ物頒布等の処罰対象も改正された。現行法ではわいせつ物を「文書、図画その他の物」と規定しているが、新たに電子データ(電磁的記録)が追加された。したがって今後は、わいせつ画像データをメールで送る行為もわいせつ物頒布等の処罰対象になる。2年以下の懲役、もしくは250万円以下の罰金が科される。
(2011/06/24 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:法務省】
・情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00025.html
・サイバー関係の法整備の概要[PDF]
http://www.moj.go.jp/content/000073741.pdf