東京都は、ネットや携帯電話などに関するトラブルに悩む青少年(18歳未満)のための専用総合相談窓口を開設しているが、今月4日、昨年度の相談実績について取りまとめ公開した。
相談窓口「東京こどもネット・ケータイヘルプデスク」(愛称・こたエール)が2010年度に受理した相談件数は2078件(月平均173件)で、前年度の月平均60件に比べ、約3倍に増加している。相談内容の第1位は前年度同様「架空請求」で、中学生の相談の39%、高校生の相談の51%を占めている。ほかに、スパムメールやチェーンメールなどの「迷惑メール」、書き込みトラブル相談における「名誉毀損等」に関する相談の増加が目立っている。
●学年が上がるほど「携帯電話起因」の相談が増加
小学1年から高校生まで、学年が上がるにつれてほとんど右肩上がりに相談件数が増えている。なかでも最も相談件数が多いのは、高1の235件で、青少年の相談件数全体の17%、高校生全体の相談件数の43%を占める。また、携帯電話に起因する相談の割合が、学年が上がるにつれて増えることも特徴的だ。小学生は「携帯電話起因」と「パソコン起因」の割合はほぼ同じだが、中学生になると携帯電話に起因する相談が57%で、パソコンの倍近くになる。高校生では携帯電話に起因する相談が75%で、パソコンのおよそ7倍となっている。
●最高200万円もの「架空請求」、小学生からも相談
前述の通り、相談全体で最も多いのが「架空請求」だ。2009年度の相談は月平均でおよそ14件だったが、2010年度は月平均45件となり、3倍以上の伸びを示す。高校生本人や中学生本人からの相談が主だが、小学生本人からの相談も前年度の2件から27件に増加している。請求金額の最高は200万円で、平均額は約8万4000円。最も件数の多かった請求金額は9万9800円で、76件あった。こうしたトラブルは親に言い出せず、自分で抱え込んでしまうケースが少なくない。ヘルプデスクでは、支払う義務はないこと、督促メールなどにも返信してはいけないことを指導している。メールの受信拒否設定やアドレス変更などの具体的な対応策の回答事例も公表している。
●フィルタリング活用で防げたはずのトラブル66%
青少年のネットトラブルを未然に防ぐ手段として、フィルタリングの活用が推奨されている。しかし、フィルタリングについては、相談者自身が「わからない」と答えることも多く、ヘルプデスクで利用の有無を把握できたものは、青少年にかかわる相談1356件中620件だった。パソコンは家族共有で使用しているため「フィルタリングなし」が多く、携帯電話については、フィルタリングの有無はほぼ半々だった。
架空請求の相談は「フィルタリング利用なし」の件数が「あり」の2倍となった。相談全体を見ると、フィルタリングを利用していない談者347件のうち、フィルタリングを利用していればトラブルを防げたと思われる内容が230件(66%)という結果となった。
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夏休みが始まり、子どもたちがネットに接する時間が多くなると、解放感も手伝ってトラブルに巻き込まれやすくなる。フィルタリングなどの対策を講じるほかに、ネット利用のルールやマナー、トラブル発生時の対応など、家庭内で話しあう機会をもたれてはいかがだろうか。
(2011/07/20 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・「東京こどもネット・ケータイヘルプデスク(こたエール)」平成22 年度相談実績の概要[PDF](東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2011/07/DATA/60l74100.pdf