警察庁は、コミュニティサイト(非出会い系サイト)を利用して犯罪被害にあう児童の数が、出会い系サイトに比べ約4倍という高水準で推移していることから、今年上半期(1~6月)に摘発した726事件(被害児童546人)について調査分析し、9日に結果を公表した。関連事業者や保護者に、被害防止対策の参考として役立ててほしいとしている。
いわゆる出会い系サイトを通じた犯罪の検挙件数は、2006年をピークとして減少を続け、逆にSNSなど非出会い系のコミュニティサイトを利用した犯罪の検挙件数が増加していた。非出会い系で起きた犯罪の検挙件数は、統計をとり始めた2008年から2010年まで上昇を続け、昨年は前年比14.4%増の1541件。被害にあった児童(18歳未満)の数も、出会い系サイトでは前年比43.9%減の254人に比べ、コミュニティサイトではその5倍近い1239人だった。
警察庁によると、今年上半期は統計を取り始めてから初めて減少に転じた。2010年上半期は検挙件数730件(被疑者599人、被害児童601人)だったが、今年上半期は726件(被疑者557人、被害児童546人)となった。しかし、出会い系サイトに比べ約4倍という数字で、引き続き警戒と対策が必要だ。
9日の公表資料によると、被害児童はコミニュティサイトへのアクセス手段として、89.4%が携帯電話を使っている。その携帯電話は、フィルタリング未加入が9割以上だった。
コミュニティサイトの利用について保護者から注意を受けているかどうかについては、「注意なし」が58.6%で約6割にのぼる。その内訳は、「サイト利用を親に話していないので、注意を受けたことはない」30.5%、「注意を受けたことはない、放任」25.0%、「ゲームサイトと親に話していたので、注意を受けたことはない」3.2%だった。「注意なし」といっても完全な放任は25%で、あとはもう一歩踏み込んだ親の関心やアプローチがあれば、子どもを守る注意に結び付いた可能性があるのではないか。
学校からの指導については、「教えてもらった」39.8%、「教えてもらったが、自分は大丈夫と思っていた」19.9%、「教えてもらったが、よくわからなかった」8.7%で、7割近くが学校での指導があったとしている。指導が得られなかった児童は、「教えてもらっていない」9.1%、「学校には行かないので知らない」22.5%で、3割を占める。学校での指導については、内容をより有効なものにすることが期待される。
なお、携帯サイトやモバイルコンテンツを審査する民間団体であるEMA(モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)が認定するサイトで発生している事件は、前期と同様、約6割という結果だった。警察庁は、EMAによる継続的なサイトの認定・監視機能の厳格化が求められるとしている。また、携帯電話事業者には実効性のある年齢ゾーニングの促進、事業者によるサイト内の監視体制強化、フィルタリング普及や児童・保護者に対する注意など広報啓発活動も、今後の対策課題としてあげている。
(2011/11/21 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査結果について(平成23年上半期)[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h23/H23deai-bunseki.pdf