国内のWebサイトが不正アクセスを受け、改ざんされる被害が続いている。閲覧者をウイルスに感染させる目的で、不正なリンクが埋め込まれる例も多いので、感染被害にあわないように、セキュリティアップデートを欠かさず実施していただきたい。
今回の攻撃は、かつての「ガンブラー」のような大規模なものではなく、いくつかのグループがそれぞれのキャンペーンを展開しているようだ。被害事例については、下記の【関連URL】を参照いただきたい。
自治体の公式サイトもいくつか被害を受けている、ウイルス感染を目的としたサイト改ざんでは、攻撃サイトに誘導し、システムやプラグインの脆弱性を悪用した攻撃を仕掛ける手口がよく用いられる。Webサイトからダウンロードした不正なプログラムは、通常ならユーザーが許可しない限り実行されないが、脆弱性が悪用されると、サイトを閲覧するだけで勝手に実行され、偽のウイルス対策ソフトやパソコンを乗っ取るボットなどをインストールされてしまうことがある。
■悪用されている脆弱性:JRE、Adobe Reader、Flash Player、Windows関連
現時点で悪用されている脆弱性は、Javaプログラムを実行するためのJRE(Java Runtime Environment:Java実行環境)、PDFファイルの閲覧ソフトAdobe Reader、動画などのFlashコンテンツを再生するFlash Player、Windowsのシステムや付属ソフトだ。現時点で悪用されている脆弱性は、いずれも修正済みのものばかりなので、これらを最新の状態にアップデートしていれば、改ざんされたサイトを閲覧しても悪質なプログラムが勝手にインストールされてしまう事態にはならない。Windows関連ソフトは「Windows Update」で、その他は、ネットセキュリティニュースの下記トピックスを参考に、バージョンチェックと最新版への更新を行っていただきたい。
■標的となるパソコン/端末:Windows、Mac、Android
ウイルス感染を狙った脆弱性攻撃の多くは、Windowsパソコンを標的としたものだが、一部にはMacを標的としたものもある。また、ユーザー自身にインストールさせようとするものもあり、こちらは、Windows、Macに加え、Android端末向けの攻撃も確認されている。だまされて、不正なアプリをインストールしてしまわないよう注意していただきたい。
■サイトの管理者の方へ
サイトが改ざんされる事例では、ウイルス感染を狙ったもののほかにも、ハッカーグループが不正アクセスに成功した証を残して行くだけのもの(情報通信研究機構の事例)や、フィッシングサイトの開設やウイルス置き場として悪用するもの、怪しいED薬や時計の販売サイトに誘導するリダイレクタを設置するものなどもある。これらは、サイトの閲覧者に直接の影響はないが、サイトの管理者の方は、改ざん個所の修正や不正なファイルの撤去だけで済まさないようにしていただきたい。Webアプリケーションの脆弱性や管理パスワードの漏えいといった、不正アクセスの根本的な原因を解消しないと、繰り返し不正アクセスを受け悪用されることになる。
(2012/05/31 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・国際交流センターホームページの不具合について(和歌山県)
http://wave.pref.wakayama.lg.jp/news/kensei/shiryo.php?sid=15517
・多賀城市ホームページの改ざん被害について(宮城県多賀城市)
http://www.city.tagajo.miyagi.jp/topics/2405/to-2405-homepage.html
・当HPサイト不正改ざんについて(板橋区体育協会)
http://www.itabashi-taikyo.or.jp/wp/?p=807
・日本計算工学会 ホームページの改ざんに関するご報告とお詫び(日本計算工学会)
http://www.jsces.org/information/info/000284.html
・沖縄県立埋蔵文化財センターのホームページ改ざんについて(沖縄県教育委員会)
http://www-edu.pref.okinawa.jp/bunka/maizoubunka.html
・弊社デモ用サーバーのウェブページ改ざんに関するお知らせ(キヤノンマーケティングジャパン)
http://cweb.canon.jp/e-support/info/120515defacing.html
・情報通信研究機構 Webサイトへの不正アクセスについて(情報通信研究機構)
http://www.nict.go.jp/press/2012/05/01-1.html
・情報通信研究機構 Web サイトへの不正なアクセスに関する調査結果について(情報通信研究機構)
http://www.nict.go.jp/info/topics/2012/05/announce120516.html