携帯電話やスマートフォンの紛失について、興味深い調査結果が公開されている。個人ユーザーを対象とした調査ではその1割が、企業を対象とした調査では約5%が、それぞれモバイル端末の紛失または盗難を経験したことがあるという。
個人ユーザーを対象とした調査は、シマンテックが今年2月、日本ほかシンガポール、中国、インド、オーストラリアにおいて、それぞれ500人を対象に行った。企業を対象とした調査は、マカフィーが米国の439社を対象に行い、昨年10月にその結果を公開している。
■携帯電話ユーザーの約半数は情報保護の対策とらず
シマンテックの調査では、携帯電話利用者のうち約半分がパスワードで携帯電話を保護しておらず、紛失や盗難時に個人情報を保護する対策を講じていなかった。携帯電話の紛失または盗難を経験した人の割合は10%で、その90%が紛失だった。
紛失または盗難の経験者の3人のうち2人は、一番困ったことはアドレス帳の紛失だとし、日本人の3人のうち2人は携帯電話を失くすよりも、スタジアムいっぱいの人々の前でパフォーマンスをするほうがましと回答している。同社は、これは携帯電話への高い依存度と、個人情報重視の姿勢を示すものとしている。
■紛失したスマートフォン14万台の回収率は7%
マカフィーの調査では、調査対象439社が1年間に紛失したスマートフォンの数は14万2706台にのぼり、毎年およそ従業員が所有するスマートフォンの4.3%が、紛失や盗難にあっているという。失われた14万2706台のスマートフォンのうち、回収されたのはわずか7%(9298件)だった。
紛失場所で最も多いのは自宅やホテルの部屋など職場から離れた場所(47%)で、次は移動中(29%)、職場(13%)、覚えていない(11%)の順。機密情報が保存されているという認識は60%がもっていたが、57%が利用可能なセキュリティ機能を使用しておらず、結果として端末は保護されなかったという。業界別では、紛失率が高いのは「医療・医薬品」「教育・研究」「公共事業」だった。
●ユーザーができる紛失・盗難対策
携帯電話やスマートフォンを置き忘れたり紛失したり盗まれたりした場合、慌てずにキャリアに電話をし、リモートロックをしてもらおう。遠隔操作で、携帯電話やスマートフォンの画面がロックされ、他者から操作されることを防ぐことができる。遠隔操作でデータを消去するリモートワイプや、位置情報を使って端末の所在を探すサービスなども、キャリアやサードパーティから提供されている。
注意していただきたいのは、利用できるサービスは機種によって異なり、事前に設定や登録が必要なものや、アプリケーションのインストールが必要なものがあることだ。また、遠隔操作でのサービスは、端末の電源が切れている場合や、圏外では機能しない。紛失してから慌てるのではなく、基本的な保護対策は、あらかじめ端末側でやっておくことをお勧めする。具体的には、下記のネットセキュリティニューストピックスを参照いただきたい。
(2012/7/20 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・ノートンによる調査:日本人の半分しかモバイル上のネット犯罪を意識していない
http://www.symantec.com/ja/jp/about/news/release/article.jsp?prid=20120711_01
・スマートフォンの紛失率、年間で約5% (マカフィー)
http://www.mcafee.com/japan/security/mcafee_labs/blog/content.asp?id=1325
・The Lost Smartphone Problem[PDF](英文)(McAfee)
http://www.mcafee.com/us/resources/reports/rp-ponemon-lost-smartphone-problem.pd