警察庁は11日、今年上半期のインターネット・ホットラインセンターの運用状況と、その通報による違法情報の検挙状況等を発表した。違法情報の通報は減少したが、捜査方法の向上で検挙件数は大幅に増加した。被疑者は初犯が約8割で、ネットの匿名性を過信し、安易な動機で犯行に及んでいた。
インターネット・ホットラインセンター(IHC)は警察庁からの委託で、インターネット上の違法情報や有害情報(注1)に関する一般からの通報を受理し、警察へ通報したりサイト管理者やプロバイダー等への削除依頼を行ったりしている。
■規制薬物の広告減少、自殺関連情報の急増が通報数に影響
IHCが今年上半期に受理した通報件数は9万9052件(前年同期比1万2852件増)、情報件数は10万1715件(同1万1278件+)で、情報件数のうち違法情報は1万7791件、有害情報は4613件、その他の情報は7万9311件だった。違法情報は前年同期比で1495件減少、有害情報は同1560件増加している。違法情報の減少は規制薬物の広告情報が大きく減少したためであり、有害情報の増加は自殺関連情報が急増したためだった。
■「全国協働捜査方式」が奏功、検挙件数大幅増加
IHCへの違法情報の通報件数減少に伴い、IHCから警察への違法情報の通報件数も1万725件と前年同期比で1678件減少している。しかし、検挙件数は1988件と、前年同期比で1413件の大幅増加となった。これは、昨年7月から本格実施した「全国協働捜査方式」によって捜査の効率化・迅速化がはかられたことが功を奏したという。
■特定サイトの管理改善で、違法情報削除率が劇的向上
IHCからサイト管理者等への削除依頼については、依頼した違法情報6887件のうち6116件が削除され(前年同期比30.9ポイント増)、有害情報については依頼した2515件のうち1780件が削除された(同26.8ポイント増)。これまで削除依頼にほとんど応じていなかった特定サイトの削除率が向上したことが、削除率を大きく引き上げた。
■8割が初犯、匿名性を過信し安易な動機で犯行
通報内容は、多い順に「わいせつ」6961件、「薬物」1918件、「口座(注2)」785件、「児童ポルノ」457件、「出会い系」416件など。検挙された被疑者の約81%が、これまで犯歴がない初犯で、犯行動機は「遊び、好奇心」(約33%)など安易なものが最多だった。インターネットの匿名性を信じて、「捕まらないだろう」と思って犯行に及んだ者は約74%と高い割合を示している。
(注1)違法情報や有害情報:IHCに通報される「違法情報」は、わいせつ物公然陳列、規制薬物の広告など8類型に、今年7月1日から不正アクセス関連2類型が追加され、10類型となった。「有害情報」は、殺人など違法行為の請負等に関する情報、集団自殺を呼びかける情報など3類型。
(注2)口座:預貯金通帳等の譲渡等の誘引(犯罪収益移転防止法第26条第4項)は「違法情報」に含まれる。
(2012/10/15 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:警察庁】
・平成24年上半期の「インターネット・ホットラインセンター」の運用状況について[PDF]
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h24/pdf03-1.pdf
・平成24年上半期におけるインターネット・ホットラインセンターからの通報による違法情報の検挙状況等について[PDF]
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h24/pdf03-2.pdf