セキュリティ企業のマカフィーは21日、「家庭でのセキュリティ実態調査」の結果を発表した。回答者の9割がパソコンにセキュリティ製品を導入しているが、スマートフォンは5割強、タブレットは3割程度だった。家庭内のインターネット接続端末が増え、父親が一人で全てを管理するのは難しくなっている実態が浮き彫りとなり、同社は今後、家族全員がセキュリティ意識を高め、父親は管理者からセキュリティアドバイザーの役割にシフトすることを提案している。
調査は、日本の家庭内のインターネット利用とセキュリティ導入状況を把握する目的で、2012年11月28日から29日に、20~59歳の男女628名を対象にオンラインで実施された。パソコン端末周辺だけでなく、スマートフォンやタブレットも交え、マルチデバイス所有者のセキュリティ意識とセキュリティ意向の関連性を調べた。
■配偶者や子ども、親の端末を「管理できない」事情とは
家庭内の端末ごとのセキュリティ導入状況を見ると、パソコンについては「すべての機器に導入している」が79.7%と高率だが、スマートフォンでは38.9%、タブレット端末では34.5%に留まった。また、「配偶者」「子供や親」が使用する端末に「セキュリティソフトを導入している」と回答した人は、「自身で使う」と比べ、10%低い結果が出た。
家庭内のIT管理者(男性は9割、女性は3割以下)が、家族の使う端末の管理についてどう考えているかについて見ると、配偶者に対しては「ほとんど使わない、危ないサイトに行かないから大丈夫」「Apple製品なのでセキュリティは不要」「導入方法がわからない。導入したいと思っているがそのまま放置」。子供に対しては「ゲームだけでインターネットはしない」「子供のスマートフォンの管理は任せている」。親に対しては「あまり使わない」「親のパソコンは勝手に触れない」 などのコメントが寄せられている。
このような、いわば家庭の事情で「利用者本人に管理を任せてしまっている」状態では、サイバー犯罪者の標的となるおそれがあると同社は警告する。
■「お父さんが家族を守る4つのステップ」を提案
家族構成とセキュリティソフト導入の関連を見ると、独身者より家族を持つ回答者のほうが、セキュリティ意識が高い。その反面、家庭内のインターネット接続端末が多くなるほどセキュリティ意識が低下する。セキュリティ意識が高い家庭のIT管理者も、スマートフォンやタブレットなど「家族で共有する」感覚が薄い端末が増え、一人では管理しきれない状態になりつつあることがうかがえる。同社は、こうした状態にある父親に「家族を守る4つのステップ」を提案している。
(1) 家庭内でインターネットに接続できる端末(パソコンやスマートフォン、タブレット、テレビなどのインターネット対応家電)の数、および接続方法(無線か有線か)を把握する。
(2) 改めて家族でインターネットや端末の使い方を見直す。ショッピングや動画など、どのように使っているのか、どのような情報を入力しているのかを確認する。パーソナル性が高い端末も、「踏み台」になれば家族や友人に被害が及ぶことを意識づける。
(3) 常に最新の情報をチェックし、家族のアドバイザーになる。
(4) インターネットに接続する端末に脅威対策を検討・導入する。ウイルス対策はもちろん、持ち歩く端末については紛失や盗難被害なども想定しなければならない。
父親一人では家庭内のインターネット接続端末を全て管理するのが難しくなってきている現在、家族全員でセキュリティ意識を高める必要があり、父親はこれまでのような「管理運用者」から「セキュリティアドバイザー」へ向かうべきであると同社はアドバイスしている。
(2013/02/22 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:マカフィー】
・お父さんはITセキュリティ管理者になれるのか -マカフィー、日本における「2012年の家庭でのセキュリティ実態」の調査結果を発表
http://www.mcafee.com/japan/security/mcafee_labs/blog/content.asp?id=1352