権利者に無断で音楽や映像をダウンロードする、いわゆる「違法ダウンロード」に関する改正著作権法の認知率が初めて6割台に上昇し、違法ダウンロードを利用する意向をもつ人が初めて1割未満に減少したことがわかった。オリコンの調査結果によるもので、同社は音楽事業者の啓発活動に一定の効果が現れたものと評価している。
音楽情報サービスのオリコン(東京都港区)は2月27日、「第4回 著作権法改正・施行認知率、今後の違法ダウンロード意向調査」結果を発表した。著作権法が改正された2010年から毎年1回、継続して行ってきたもので、今回の調査期間は2013年1月31日~2月11日、調査対象は全国の「中学・高校生」「専門学校・大学生」「20代社会人」「30代」「40代」の男女、合計973人。自社アンケートパネルOMR(オリコン・モニターリサーチ)によるインターネット調査だ。
■「著作権法改正」~2010年に有罪化、2012年に刑事罰化
2010年1月の著作権法改正は、「著作権を侵害した配信だと知りながら、権利者に無断で音楽や映像をダウンロードすることは、個人的に楽しむ目的であっても違法(権利侵害)」とするものだった。2012年6月にはさらに一部が改正され、権利者からの告訴が必要な親告罪ではあるが、刑事罰の対象となった。対象となるのは、CD、DVD などで販売、または有料でインターネット配信されている音楽・映像等の「有償著作物」を、違法ダウンロードして私的に使用した場合で、「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはその両方」が科される。また、DVDなどのコピー防止機能を解除して、自分のパソコンなどに取り込む「DVDリッピング」行為についても、個人的利用目的であっても違法となることが盛り込まれ、同年10月に施行された。
■2013年の認知率~「有罪化」67.2%、「刑事罰化」48.5%
「2010年の著作権法改正」に対する認知率は、初回の2010年調査では51.6%、2011年は50.5%、2012年は56.1%、2013年は67.2%で、第4回目の今年、初めて6割台となった。2013年調査の認知率を世代別にみると、最も高いのが「40代」73.5%、次いで「20代社会人」70.5%、「専門・大学生」69.5%、「中高生」64.2%、「30代」58.0%の順だった。
今回から調査に追加された2012年の法改正(刑事罰化)については、全体の48.5%が認知していた。うち83.5%が「刑事罰の対象となる内容」についても「知っていた」と回答している。この法改正についてのコメントは、「当然」とする賛同コメントが全体の約40%と最も多く、「厳しすぎる」「罰が重すぎる」などの反対コメントは約10 %だったという。「DVD リッピング」違法行為の認知率は、全体の35.4%だった。
■認知経路~「ネット」「TV番組」「新聞」「映画館」の順
2010年の法改正を知っていた人にどの媒体で知ったかを尋ねると、「インターネットのサイト」が38.7%で3年連続でトップだった。次いで「テレビ番組」35.6%、「新聞記事」20.5%、「映画館CM」15.9%の順だった。2012年の法改正についても「インターネットのサイト」44.7%、「テレビ番組」33.1%、「新聞記事」18.9%、「映画館CM」17.6%の順となった。
■違法ダウンロードの「経験」と「今後の意向」
昨年1年間の「違法ダウンロード経験」は、全体で「経験なし」が89.3%、「経験あり」は10.7%となり、過去3年間で最低の数値となった。「経験なし」を世代別にみると、中・高生22.0%(昨年28.5%)、専門・大学生12.5%(同24.0%)、30代5.5%(同10.5%)、40代2.0%(同10.5%)と全世代で大幅に減少している。
今後の「違法ダウンロード利用意向」では、74.0%(昨年68.9%)が「利用しない」と回答し、初の7割台となった。「すると思う」「以前よりは減ると思う」を合わせた「今後の違法ダウンロード意向」がある割合は、8.7%と初の1桁台となった。3年連続して20%台だった「中・高校生」も13.3%と初めて2割を切った。
同社は、こうした認知の増加、違法ダウンロード経験・意向の減少は、音楽事業者の継続的な啓発活動の効果の現れと評価し、今後は2012年の法改正で規定された刑事罰の内容や罰則をより正しく広めることが課題になるとしている。
(2013/03/07 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:オリコン】
・著作権法改正認知率67.2%…4年目で初の6割超え 違法DL利用意向は初の1桁台に
http://www.oricon.co.jp/news/ranking/2022094/full/