IPA(情報処理推進機構)が23日に公表した「コンピュータウイルス・不正アクセス届出状況および相談受付状況」によると、2013年の相談で最も多かったのは「ワンクリック請求」関連で、なかでもスマートフォンでのワンクリック請求についての相談が急増している。「偽セキュリティソフト」「ネットバンキング」「ランサムウェア」関連の相談も、著しい増加がみられた。
■相談最多は「ワンクリック請求」、目立つスマホでの被害 2013年1~12月にIPAに寄せられた相談件数は、前年より27%増の1万5227件だった。うち最も多いのは、パソコンとスマートフォン(スマホ)を合わせた「ワンクリック請求」3287件で、次位の「偽セキュリティソフト等」の889件を大きく引き離している。ワンクリック請求全体では前年に比べ19%増だが、このうちスマホで被害にあったという相談は393件で、前年の149件から164%もの増加となった。スマホやタブレット端末の普及に伴って、今後もワンクリック請求の相談増加が懸念されている。被害予防と被害にあってしまった場合の対処法は下欄の関連URLを参照いただきたい。
■相談次位は「偽セキュリティソフト」、前年より151%増 次位の「偽セキュリティソフト等」は、前年より151%増加の889件だった。偽セキュリティソフト型ウイルスに感染すると、突然パソコンの状態を検査し始め、ウイルス検出の偽の警告画面を出し、有料版の購入が必要としてカード番号の入力を求めてくる。感染経路は、パソコンの脆弱性を利用してインストールされる場合、Webサイト上の「あなたのパソコンは危険です」広告を見て自分でインストールしてしまう場合などがある。被害予防と被害にあってしまった際の対処法は、下欄の関連URLを参照いただきたい。
■「ネットバンキング」「ランサムウェア」相談の急増 全体に占める件数は少ないが昨年急増し、今後も増加が懸念されているのが「ネットバンキング」と「ランサムウェア」だ。前者は前年の39件から148件に、後者は前年の3件から22件に増加した。IPAはそれぞれの相談事例を紹介している。
ネットバンキング相談例:ログイン画面でポップアップ画面が開き、ログインパスワードや合言葉の入力を求められた。それ以外は特に問題なくパソコンが使えているという相談に対し、回答はウイルスの検出・削除だけではすまず、できれば「システムの復元」「パソコンの初期化」も必要というものだった。 ランサムウェア相談例:ネットサーフィン中に海外警察とおぼしき画面が表示され、パソコン操作が一切できなくなった。メッセージはすべて英語で、罰金の支払いを要求されているようだという相談に対し、回答はまずランサムウェア(身代金要求型不正プログラム)について解説。海外の公的機関を装ってパソコン内のデータを暗号化して操作不能にし、復旧の条件として身代金・罰金を要求するが、支払っても復旧の保証はないという。「パソコンの初期化」でしか修復できない場合があるため、日頃から重要データは定期的にバックアップするようアドバイスしている。
IPAは、こうした被害を防ぐためには、セキュリティソフトを最新の状態で利用するのはもちろん、OS(Windows、Mac OS)やアプリケーション(Java、Flash Player、Adobe Readerなど)を常に最新バージョンで使用するようアドバイスしている。
(2014/1/24 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:IPA】 ・コンピュータウイルス・不正アクセス届出状況および相談受付状況[2013年年間] [PDF] http://www.ipa.go.jp/files/000036445.pdf ・スマホにおける新たなワンクリック請求の手口に気をつけよう![PDF](2013年5月) http://www.ipa.go.jp/security/txt/2013/documents/summary1305.pdf ・【注意喚起】ワンクリック請求に関する相談急増!パソコン利用者にとっての対策は、まずは手口を知ることから!(2013年7月) http://www.ipa.go.jp/security/topics/alert20080909.html ・どうして偽セキュリティ対策ソフトがインストールされるの?[PDF](2013年4月) http://www.ipa.go.jp/security/txt/2013/documents/summary1304.pdf ・インターネットバンキング利用時の勘所を理解しましょう![PDF](2013年9月) https://www.ipa.go.jp/files/000034237.pdf