インターネットを悪用した人権侵犯事件が急増していることがわかった。法務省が14日に発表した資料によると、2013年は過去最高となる957件の人権侵犯事件が発生し、内容はプライバシー侵害と名誉毀損が98%を占めた。
同省の人権擁護機関は、被害を受けた人からの訴えを受けて救済に努めている。2013年に新規救済手続きを開始した人権侵犯事件の件数は2万2437件、処理件数は2万2172件だった。インターネット上の人権侵犯事件は高水準で推移しており、2013年は957件発生し、過去最高の件数となった。
前年比では、42.6%の増加である。10年前と比較すると、人権相談件数は約6倍、人権侵犯事件数は約5倍増加している。2013年に発生した人権侵犯事件・957件の内訳は、プライバシー侵害事案が600件、名誉毀損事案が342件で、両者で全体の98.4%を占める。このうち136件に対して削除要請が行われた。
プライバシー侵害の事例が2件、紹介されている。1件は、何者かが被害者になりすまして個人情報(顔写真、氏名、生年月日、住所の一部、携帯電話番号、メールアドレス)を掲載するとともに、被害者をかたった卑猥な内容の書き込みがなされた例で、法務局の相談電話「女性の人権ホットライン」に相談が寄せられた。もう1件は、子どもが同級生からいじめを受け、その様子を撮影した複数の動画がネット上の動画投稿サイトに掲載されたという例である。精神的な苦痛を被っているとして、法務局に相談がなされた。
いずれも削除要請により削除されたが、いちど侵害された被害者の人権回復は難しいものがある。インターネットを悪用した人権侵害をしない・許さないモラルの構築が課題だ。
(2014/03/20 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:法務省】
・平成25年における「人権侵犯事件」の状況について(概要)
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03_00176.html