安心ネットづくり促進協議会(JISPA)のネット問題作業部会は4日、「青少年のネット上の問題行動」について検討、整理した最終報告書を公開した。
インターネットが社会にとっても個人にとっても必要不可欠な存在になっている一方、悪ふざけ投稿など、青少年によるネット上の問題行動とその拡散が取り沙汰されている。同協議会はこの状況を踏まえ、青少年が事件やトラブルを起こす加害者や被害者にならないための基本行動について検討・整理し、注意を喚起した。
■不用意な情報発信が後々の人生にまで影響する恐れ
これまで青少年の問題行動は局所的・短期的な問題として収拾することが多かったが、インターネット環境の普及以降は、後の人生にまで影響を及ぼしかねない事態となっている。ネット上に一度発信した情報は拡散し、誰でも閲覧・複写可能で、自分でコントロールできない。このため安易に利用すると、炎上、誹謗中傷、個人情報の暴露といった、取り返しのつかないような事態を招く危険があることを、報告書は指摘する。
■情報拡散のメカニズム
問題となるような投稿がされていわゆる「炎上」となった場合、以下のプロセスをたどると報告書は分析する。
・火種事例の誕生:本人または他者によるネット上への「事例」の発信、公開
・拡散期(前半):第三者が「事例」についてSNS等で言及。一部ユーザーが会話を開始。
・拡散期(後半):急速な拡散が始まる。一部マスコミが取り上げて拡散を助長することも。
・炎上期:「まとめサイト」登場で新規ユーザーも参加し騒動が大規模化。マスコミ報道も多数となり、さらに拡散が広がる。
炎上期まで至ってしまった場合は、どこまで話題が継続するかは不明で、最終的には自然に鎮静化するのを待つしかない状況となる。そのため、いったん発信された情報は拡散され、発信者のコントロールが及ばなくなることを十分に理解した上で、投稿を行う慎重さが必要だとしている。
■ネット利用時の正しい認識とスタンス
報告書は、インターネットユーザーは以下の点を認識する必要があり、判断に迷う場合はネット上に発信しないことをすすめている。
・一度発信した情報を完全に削除することは困難なので、半永久的に残ってもよいものかどうか、責任を持って判断する
・実社会で許されないことはネット上でも許されない
・インターネットにおいても投稿者、行為者は特定しうる
このようなポイントをまとめたガイドラインやポリシーが、企業、学校、官公庁などの各機関で作成されている。同協議会も、青少年や保護者、学校関係者を対象としてガイドラインを作成・公開している。サービス提供側に対しては、青少年がネット上に発信する際に「公開しても良いですか」等の注意を促すメッセージを表示するなど、システム的な工夫を要望している。マスコミや情報を入手する側にも、事例を興味本位に話題にすることのないよう冷静な対処を検討してもらいたいとしている。
トラブルに巻き込まれた場合や、巻き込まれそうになっている場合は、一人で悩まずに、保護者や学校関係者、または公的な相談窓口にすぐに相談するようアドバイスしている。同協議会のホームページにも窓口一覧が掲載されている。
(2014/04/08 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:安心ネットづくり促進協議会】
・「青少年のネット上の問題行動」最終報告書 公開について
http://www.good-net.jp/investigation/working-group/net-problem/2014/094-1000.html
・青少年の安心安全なインターネット利用のために
http://www.good-net.jp/safe-internet/
・相談窓口一覧
http://www.good-net.jp/lectures/consultation/