全国銀行協会は22日、会員の金融機関190余行を対象に行った「インターネット・バンキングによる預金等の不正払戻し」のアンケート調査結果を公表した。個人・法人顧客が受けた不正送金被害について、今年6月末までの件数・金額をまとめ、個人顧客については補償率も明らかにした。
アンケート結果は、預金者本人の意思によらずに預金が不正に移動された等、不正な払戻しが発生し、かつ資金移動後に振込資金がすでに引出されるなど被害者に返還できない件数・金額が計上されている。(配偶者や親族等による払戻しは除外)
■今年4~6月の個人顧客の被害件数は413件、被害額は4億4900万円
2011年度から2013年度まで3年間の、同協会の正会員・準会員(191行)の被害の推移をみると、個人顧客の被害は、87件(1億3200万円)→ 107件(1億2000万円)→ 982件(12億5400万円)と推移している。2012年は前年より件数は多いが金額は増えていない。しかし、翌2013年になると、件数・金額とも被害は著しく増大する。この勢いは2014年度にも受け継がれ、2014年4~6月の被害件数は413件、被害額は4億4900万円となった。2014年1~3月の被害(370件・5億5000万円)を件数で上回り、3か月間の被害件数としては過去最悪を更新した。
こうした不正払戻しに対し、銀行側から個人顧客に対する補償率は、2011年度は96.6%、2012年度は94.1%、2013年度は99%だった。2014年度については、4~6月の被害件数148件のうち138件に対して補償がなされ、補償率は93.2%となった。
■今年4~6月の法人顧客の被害件数は46件、被害額は1億9800万円
法人顧客の場合は、2011年度から2013年度まで3年間の被害は、19件(1億300万円)→ 1件(400万円)→ 35件(1億8300万円)と推移。2012年度は1件に留まるものの、2013年度に跳ね上がった。とくに年度末の2014年1~3月は、被害件数22件、被害金額1億4100万円と急増し、同年度の被害件数の6割以上、被害額の8割近くが、この期間に集中した。この流れで2014年度に突入し、2014年4~6月の被害件数は46件、被害額は1億9800万円。この3か月間で、2013年度1年間の被害を越えてしまった。
なお、2014年度のアンケート対象は特例会員1行を含み、192行となっている。
(2014/08/25 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:全国銀行協会】
・盗難通帳、インターネット・バンキング、盗難・偽造キャッシュカードによる預金等の不正払戻し件数・金額等に関するアンケート結果および口座不正利用に関するアンケート結果について
http://www.zenginkyo.or.jp/news/2014/08/22113000.html
・別紙2「インターネット・バンキングによる預金等の不正払戻し」等に関するアンケート結果[PDF]
http://www.zenginkyo.or.jp/news/entryitems/news260822_2.pdf