ネットバンキング不正送金の被害額が今年上半期、約18億5200万円だったことが4日、警察庁のまとめで分かった。半年で、過去最悪だった去年1年間の約14億600万円を上回っている。
被害が地方銀行や信用金庫・信用組合に拡大するとともに、法人名義の口座で被害が急増した。
2013年下半期、被害にあった地銀は19行、信金・信組はゼロだったが、今年上半期には地銀48行、信金・信組11機関となった。また、法人口座の被害額が、2013年下半期の約7500万円から約5億7200万円に急増。特に地銀、信金・信組では、被害額の8割近くを法人口座の被害(約4億1000万円)が占めている。
個人口座の被害額も、2013年下半期の約11億1800万円から約12億8000万円に増加した。
被害増加の背景にあるのは、ウイルスの悪質化、巧妙化。警察庁では5月から、ウイルス「Game Over Zeus」のネットワークを崩壊させるための国際的な作戦に参加しており、プロバイダー等の協力を得て、約15万5000件の感染端末利用者に対する注意喚起を推進している。
■一般ユーザーは「感染予防」が大切
国内の不正送金に使われたウイルスとしては、これまでに「Zeus/Zbot」「SpyEye」「Citadel」などが報告されている。上記のGame Over Zeusは、Zeus/Zbotの亜種だ。また今年の春あたりから、複数のセキュリティ関連機関が「Snifula」(「Neverquest」「Vawtrak」「Papras」などと呼ばれることも)に注意するよう呼びかけている。Snifulaについては、下記の関連記事をご覧いただきたい。
不正送金に使われるウイルスの中には、感染してしまうとセキュリティ対策ソフトの機能を妨害するものもあり、感染を予防することが非常に大切だ。
ウイルス感染を防ぐためには、以下に気をつけていただきたい。
・システムや使用しているアプリケーションのアップデートを欠かさず行い、常に最新の状態で利用する。特に狙われることが多いWindows、Adobe Reader、Flash Player、JRE(Java Runtime Environment:Java実行環境)については、アップデートが公開されたら出来るだけ早く最新版に更新する。
・信頼できる添付ファイルやリンク以外は開かない。
また、セキュリティ対策ソフトを導入し、定義ファイルを最新の状態にしておけば、危険なサイトやメール、リンクについて事前警告を期待できる。
(2014/09/08 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・平成26年上半期のインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/pdf/H260904_banking.pdf
・【重要】インターネットバンキングに係るウイルス(不正プログラム)感染者に対する注意喚起の実施(ソネット)
http://www.so-net.ne.jp/osirase/20140723.html