総務省は9月30日、青少年のネットリテラシーに関する実態調査の結果をとりまとめた「平成26年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等」を公表した。調査は今回が3回目。テストの正答率は年々上昇しており、リスク対応能力の向上がみられる。
総務省では、青少年がインターネット上の危険・脅威に対応するための能力を数値化するテストを2011年度に開発し、2012年度から協力校で実施している。携帯電話やスマートフォンがおおむね青少年にいきわたる高校1年生までに身に着けて欲しいリスク回避能力を、3つの大分類、7つの中分類に整理し、多肢選択式で答えさせるもので、大分類は以下の通り。
1.インターネット上の違法コンテンツ、有害コンテンツに適切に対処できる能力
2.インターネット上で適切にコミュニケーションできる能力
3.プライバシー保護や適切なセキュリティ対策ができる能力
今年は6月から7月にかけて全国の高等学校1年生相当(3672名)にテストを実施。併せて、利用している機器やトラブル経験の有無等についてアンケートを行い、結果をクロス集計し、分析した。
■リスク対応能力は年々向上
テストの正答率は70.2%で、昨年度(68.9%)より1.3ポイント上昇した。どの分類においても平均点が昨年度と同等かそれ以上となっており、年々、リスク対応能力の向上がみられる。一方で、「電子商取引の問題を理解し、適切に対応できる能力」と、「適切なセキュリティ対策を講じて利用できる」については正答率が低く、更なる啓発が必要とされている。
■スマートフォン保有者が88%、利用時間は他の機器より長め
スマートフォン保有者は全体の88.1%で、昨年度(84%)より上昇。インターネットに接続する際、最もよく利用する機器についても、スマートフォンが全体の80.1%と昨年度(75%)より上昇した。1日当たりの平均利用時間は、スマートフォン以外は平日、休日共に1時間未満が最も多いが、スマートフォンでは平日で1~2時間、休日で2~3時間の利用が最も多く、他の機器に比べ長時間となっている。
■フィルタリングの意義を71%が理解
フィルタリングの認知度は年々高くなっており、今回は72.5%が知っていると回答。知っているとした青少年のフィルタリング利用率は55%だった。
スマートフォン利用者にフィルタリングのイメージをたずねたところ、71.4%が「安心にインターネットを使うことを可能にしてくれるもの」としてその意義を理解し、プラスのイメージでとらえていた。
また、フィルタリングの意義について理解している青少年の方が、フィルタリングを邪魔なものと考えたり、フィルタリングをそもそもよく知らないとしたりした青少年よりも、テストの正答率が相対的に高かった。
■「家庭のルールがある」とリテラシーが高い傾向
スマートフォンやSNSを利用する際の家庭のルールがあるとした青少年は41.7%だった。ルールがある青少年の方が、ルールがない青少年よりも、テストの正答率が相対的に高かった。また、ルールがある青少年のフィルタリング利用率は51.8%だったのに対し、ルールのない青少年の利用率は38.2%と低いことも明らかになっている。
同まとめは、これらの調査結果から、「フィルタリングの必要性、意義などを青少年自ら考える機会を設けること」、「正しいリスク認識、家庭でのルールづくり、フィルタリングの意義など、保護者の意識を高めること」などが、青少年のネットリテラシー能力を高めるために重要と結論付けている。
(2014/10/14 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:総務省】
・「平成26年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等」の公表
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_02000147.html
・平成26年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等[PDF]
http://www.soumu.go.jp/main_content/000315097.pdf