ジャパンネット銀行は昨年11~12月にネットバンキングのセキュリティに関する意識調査を行い、その結果を今月8日に発表した。被害・危険の経験がある個人は4割以上にのぼり、この2年間で情報流出経験は3.2倍、不正出金経験は2.3倍に増えた。ネットバンキングにスマートフォンを利用する人は5割を超えている。
同行は2012年11月にも同趣旨の意識調査を個人顧客対象に行っている。今回の調査対象は同行に口座を持つ、20代~50代の男女3939名の個人に加え、425社の法人も対象とした。調査方法はインターネット調査で、個人は2014年11月5~9日、法人は同12月2~4日に実施した。以下、その要旨を紹介する。(2年前の調査結果との比較は、すべて個人を対象としたもの)
■個人の4割超が「被害・危険」を経験、法人の4割が偽メールを受信
「インターネットバンキングに関わる被害・危険」に遭遇した経験を尋ねると、個人の42.2%、法人の36.5%が「経験あり」としている。前回調査(19.4%)と比べ、2.2倍の増加となった。被害・危険の内容について尋ねた結果(複数回答)をみると、目を引くのが「フィッシングメール受信」の多さで、法人では40.9%、個人では25.5%が経験している。前回調査(9.3%)と比べ、2.7倍の増加である。フィッシングメールと同じく被害の前段階の危険といえる「スパイウェアへの感染」については、個人が15.4%、法人が5.6%で、前回調査(6.4%)より2.4倍増加した。
■「情報流出」は3.2倍、「不正出金」は2.3倍に増加
ネットバンキング被害の前駆症状と言える偽メールやスパイウェアが2年前より倍増していることがわかったが、被害の核心である口座情報の流出や不正出金についてはどうか。「個人情報や口座情報の流出」は、個人の15.8%(前回調査4.9%)、法人の1.2%が経験したと回答しており、2年前より3.2倍の増加となった。「預金の不正出金」は、個人の2.1%(前回調査0.9%)法人の0.7%が経験ありと回答しており、2年前の2.3倍である。被害の前駆症状が増加するのに比例して、被害そのものも増加していることがわかる。
■スマホでのネットバンキング利用は5割超
どの端末でネットバンキングを利用しているかを個人に尋ね結果(複数回答)は、「パソコン」93.2%、「スマートフォン」50.3%、「タブレット」13.7%、「携帯電話」7.1%だった。スマホが5割を超え、携帯電話が1割を切っている。スマホにアプリ(ゲームやSNSなどアプリ全般)をインストールすることに不安を感じるかという個人への質問には、「不安を感じる」32%、「どちらかといえば感じる」38.1%、「どちらかといえば感じない」19.6%、「感じない」10.4%だった。「感じる」と「どちらかといえば感じる」を合わせると70.1%となり、前回調査ではこの2つの合算は88.8%だったので、アプリに不安をもつ人は20%近く減少したことになる。同行は、スマホ普及に伴ってアプリが身近になったことを示すものとしている。
■銀行に求めるもの--「セキュリティ」が1位、手数料や利便性も重視
ネットバンキング利用で銀行を選ぶ際に重視することを尋ねると、「セキュリティ」が個人(73.5%)、法人(72.5%)とも1位だった。前回調査(80.6%)と比べ、7.1%減少している。代わりに上昇している項目は「手数料」と「サービス内容」で、前者は1%伸びて60.4%に、後者は6.1%上昇して27.6%となっている。法人では「手数料」「振り込みなど決済の利便性」「金利」を重視する割合が個人よりも高い。同行は、危険が高まっている状況にありながら「セキュリティ」を重視する人が減った理由として、この2年間でセキュリティ対策を強化した銀行が増えたことにより、「セキュリティ対策は当然のこと」として認識されていることが考えられるとしている。
(2015/01/20 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:ジャパンネット銀行】
・第2回インターネットバンキングに関する意識調査を実施
http://www.japannetbank.co.jp/company/news2015/150108.html
・PDF版
http://www.japannetbank.co.jp/company/news2015/pdf/150108.pdf