東京都は5日、架空・不当請求の相談が増加しているとして注意を呼びかけた。また、スマートフォンのワンクリック請求をめぐり、「行政の相談窓口だと思って相談したら料金を請求された」という相談が寄せられているとして、こちらにも注意を呼びかけている。
■性別や年代問わずあらゆる層が被害に
都によると、2014年度上期、都の消費生活センターには架空・不当請求の相談が2980件寄せられた。前年同期と比べて26.3%増加しており、中でもスマートフォンに関連した架空・不当請求の被害が増加した。また、架空・不当請求は性別・年代問わず、あらゆる人が被害にあっているのが特徴だ。東京都の情報サイト「東京くらしWEB」では「架空請求対策」が常にアクセスランキング第1位となっており、関心の高さがうかがわれるという。
■自分から電話、メールするのは厳禁
架空・不当請求には様々な手口があるが、共通しているのは、あたかも契約が成立したかのように装って不安をあおり、自分から連絡をさせるように仕向けている点。こちらから連絡してしまうと、詐欺を仕掛けている事業者は言葉巧みに名前や住所等の個人情報を聞きだそうとする。
スマートフォンやパソコンの画面に、「誤作動で登録の方はこちら」、「退会手続きはこちら」、「未成年なら解約可能」、「24時間以内なら退会可能」、「消費者相談窓口」等と表示して、電話やメールをさせようとしている場合もあるが、これも個人情報を聞き出す罠である。絶対に連絡をしてはいけない。
■個人情報を抜き取る悪質アプリも――アプリのインストールは慎重に
不正アプリを使ったスマホ特有の手口もある。このアプリをインストールすると、メールアドレス、電話番号、電話帳、位置情報など端末内の個人情報を盗み取られてしまう。架空・不当請求事業者はその情報を悪用して、料金督促のショートメール(SMS)やEメールを送りつけたり、電話をかけてきたりする。都ではこの手口について、スマートフォンユーザーに以下の対策を呼びかけている。
・ウイルス対策ソフトを入れて、常に最新の状態を保っておく。
・作成者や提供元が不明のアプリはダウンロードしない。
・アプリをインストールするときはアクセス許可を確認して、不必要なアクセス権限を求められている場合はインストールしない。
■行政の窓口だと思って相談したら料金を請求されたという相談も
都では、請求内容に疑問、不安を感じたら、すぐに最寄りの消費生活センターに相談するよう呼びかけている。ただし、ここにも落とし穴がある。
<相談事例1>
スマートフォンを操作中に意図せずアダルトサイトに接続してしまい、利用料金を支払うよう表示された。あわててインターネットで「消費者センター」を検索し、上位に表示された相談先に電話した。対応した人から助言を受け、さらに「書類を送付する」というので依頼した。届いた書類を確認してみると、「委任契約書」となっており、事業者名と数万円の料金が記載されていた。自治体の相談窓口ではないのか。
<相談事例2>
スマートフォンで漫画サイトを見ていたら突然アダルトサイトに接続され、料金請求の表示が出た。検索サイトを使って行政の相談窓口を探したところ、「相談無料」と記載された行政書士事務所のサイトをみつけた。事務所に電話したところ「端末から個人情報が漏えいしている。こちらで解決する。サイトと話をつける」と言われ、4万円近い料金を支払って「架空請求の履歴の削除」を依頼した。後日、その事務所から解決した旨の報告を受けたが、連絡したサイト名や相手先住所などを聞いても答えてもらえず、不審だ。
都ではこうした相談をめぐり、以下のようにアドバイスしている。
・インターネット検索結果の画面に公的な機関を推測させるような名称が表示されていたとしても、行政のサイトではなく、事業者の広告の場合もある。行政の消費者相談窓口を利用するときには、住んでいる自治体のホームページ内のリンクを使って電話番号を調べるか、自治体の代表電話にかけて尋ねるとよい。
・行政書士が事業者と「交渉」することはできない。行政書士の業務は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類を作成すること等とされている。弁護士のように、被害者に代わって事業者と交渉することはできないので、注意が必要。
なお、全国の消費生活センター等の所在地、電話番号等は、国民生活センターホームページ内の以下のページから探すこともできる。
(2015/01/13 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・架空請求の「ワナ」に気を付けて!(東京都)
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/trouble/trouble37-kakuuseikyu-150105.html
・行政の相談窓口だと思って相談したら、料金を請求された!~「ワンクリック詐欺」被害に遭っても、あせらず、あわてず対応しましよう~(東京都)
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/kinkyu/141209.html
・全国の消費生活センター等(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/map/index.html