IPA(情報処理推進機構)が公開した「2014年度情報セキュリティに対する意識調査」の「倫理」編では、悪意ある投稿の増加や、実行すれば「不正アクセス禁止法」違反となってしまう意識の増加など、セキュリティ上の問題を提起する調査結果が報告されている。
この調査は既報通り、パソコンユーザー(以下、パソコン利用者)5000名、スマートデバイスユーザー(以下、携帯端末利用者)3500名から有効回答を得ている。「脅威」について紹介した前回に続き、今回は「倫理」で報告された内容を紹介する。
■1位「動画共有」、10代の9割が「LINE」利用
インターネットのサービスで最も人気があるのは「動画共有サイト」で、パソコン利用者の69%、携帯端末利用者の79%が利用している。2位以下は、パソコン利用者は「掲示板」36%、「Facebook」34%、「ブログ(アメーバ、FC2、はてな等)」32%、「Twitter」32%、「LINE」27%、「Google+」25%、「mixi」24%の順となる。携帯端末利用者では、2位が「LINE」71%、次いで「Facebook」55%、「Twitter」47%、「掲示板」45%、「ブログ」42%、「Google+」41%、「mixi」40%の順だった。携帯端末利用者の「LINE」人気は高く、10代で89%、20代は81%が利用している。
前回調査と比較して増加が目立つのは「ブログ」と「mixi」で、ブログはパソコン利用者で12.6ポイント、携帯端末利用者で20ポイント増加し、mixiはパソコン利用者で8.2ポイント、携帯端末利用者で16ポイント増加した。
■情報発信活発な20代、「悪意ある投稿」は携帯端末利用者で増加
インターネット上での情報発信状況をみると、「閲覧のみで投稿したことがない」は、パソコン利用者では61.5%、携帯端末利用者は47%だった。最も活発に利用している年代はどちらも20代で、パソコン利用者ではSNSへの「文章の投稿」41.7%(携帯端末利用者は51.3%)、「写真・動画の投稿」31.8%(同45.6%)だった。もう一歩進んで「自分でブログやウェブサイトを開設・公開」している20代は、パソコン利用者では24.9%、携帯端末利用者では24.5%存在し、どの年代よりも高率である。
「悪意ある投稿」の経験について十数項目から選択させる質問では、パソコン利用者では「あてはまるものはない」という回答が78%で前回調査より4.6ポイント増えているが、携帯端末利用者では逆に3.4ポイント減少し、73%となった。携帯端末利用者が経験ありとした項目は多い順に「他人や企業の悪口」9.3%、「下品な言葉を含む内容」8.9%、「他人の発言を非難する内容」8.2%など。前回調査より増加した項目は、「他人の人格を否定するような内容」4.6%(2.2ポイント増)、「身体的特徴をあざ笑う、または馬鹿にする内容」3.6%(1.5ポイント増)などだった。
■携帯端末利用の20代・2割超に「不正アクセス禁止法」違反の恐れ
「他人のIDを使ったインターネット上のサービス利用」に関する調査では、「親や友人」「知り合い」「全く知らない他人」それぞれのアカウントに、推測等でログインできたと仮定し、サービスを利用する可能性があるか否かを訊ねている。「すると思う」「やや思う」「どちらともいえない」の合計値が前回調査では1割以下だったが、今回は全体で1割を上回ってしまった。
パソコン利用者では、「親や友人」11.5%、「知り合い」11.8%、「他人」11.5%で、いずれも前回調査より5ポイント以上増加した。携帯端末利用者も前回調査を大きく上回り、「親や友人」では7.6ポイン増の15.1%、「知り合い」では7.2ポイント増の14.5%、「他人」では11.3ポイント増の14.4%となった。なかでも携帯端末利用の20代は3項目とも23%台となり、ほぼ4人に1人という割合だ。
報告書はこれらの行為が不正アクセス禁止法違反にあたるものであることを指摘し、「規範意識の向上とともに、インターネット関連の法律に関する知識を身につける必要がある」と警鐘を鳴らしている。
(2015/02/19 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:IPA】
・「2014年度情報セキュリティに対する意識調査」報告書について
http://www.ipa.go.jp/security/fy26/reports/ishiki/index.html
「2014年度情報セキュリティの倫理に対する意識調査」調査報告書[PDF]
http://www.ipa.go.jp/files/000044094.pdf