国民生活センターは23日、全国の消費生活センターなどに寄せられた2014年度(2014年4月~2015年3月)のアダルトサイトに関する相談件数が10万件を超え、過去最多となったと発表した。
アダルトサイトに関する相談の件数は、2011年度に過去最多となる9万5650件を記録。2012年度には6万5387件まで減少したものの、商品・サービス別の相談件数の1位をキープし続けており、2013年度は8万418件へと増加、2014年度はついに10万件を超え10万6279件となった。
■「支払い後」の相談が増加、「支払った金額」も高額化
相談の多くは「有料だという認識がないままサイトを見ていたところ、突然、料金の請求画面が表示された。支払わなければならないか」といった、業者に支払う前のものが占めるという。しかし、すでに支払ってしまったという相談も2~3%の割合であり、2014年度は3.6%にあたる3802件へと増加した。支払ってしまった金額も、1件当たり平均約27万円へと上昇している。
■「女性」「60歳以上」からの相談が増加
スマートフォンの利用者数はこの4~5年の間に急激に増え、携帯電話の利用者の約半分を占めるまでになった。そんな利用者数の増加と足並みを揃えるように、スマートフォン利用者からの相談件数が増え、2014年度は全体の44.7%にあたる4万7515件が、スマートフォンでのトラブルだった。
また最近の傾向として、女性や高齢層からの相談増加がみられるという。アダルトサイトに関する相談の男女比は、2009年度は男性が73.2%、女性が26.8%だったのに対し、2014年度は男性67.9%、女性32.1%だった。スマートフォンに限定すると、女性の割合は38.5%とさらに高くなる。件数の増加率で見ると、男性が5年前の1.8倍(178.4%)なのに対し、女性は2.3倍(230.3%)だ。年齢の広がりも見られ、2009年度には7.6%だった60歳以上からの相談が、2014年度には21.3%と高くなっている。
■対応のポイントは「アクセスしない」「連絡しない」「支払わない」「相談する」
センターが公開している報告書には、次のような事例が報告されている。
・業者からの架空請求メールに驚いて電話したところ、次々に利用料を請求され、高額な料金を支払ってしまった。
・タブレットで歌手の動画を見ようとして年齢確認ボタンをタップしたところ、突然アダルトサイトの会員登録完了の画面が表示された。
・アダルトサイトを見ていたら、請求画面の表示と同時にシャッター音がした。
これらはいずれも、古くからある架空請求の手口ばかりだが、事情を知らない利用者がこうした場面に初めて遭遇するとパニックになり、適切な対応がとれなくなってしまうことがある。同センターは、次の3点をアドバイスしている。無料だと思っていても料金を請求されることがあるので、不用意にアクセスしないこと。業者に決して連絡をしないこと。お金は支払わずに、最寄りの消費生活センター等に相談すること。――「アクセスしない」「連絡しない」「支払わない」「相談する」が重要なのだ。センター関連の相談先は、下記の「全国の消費生活センター等」を参照していただきたい。
■支払ってしまった場合は「警察に相談」を
すでに支払ってしまった場合や相手から脅されたりした場合には、直ちに最寄りの警察署に相談しよう。迅速に対処すれば、振り込んだお金を取り戻せることもあるし、被害の拡大を防ぐことができるかもしれない。警察署では、支払い前の相談や怪しいサイトを見かけたなどの情報提供も受け付けている。相談専用電話は、全国共通の短縮ダイヤル「#9110」または、下記の「警察総合相談電話番号」を参照していただきたい。メールやWebサイトでの情報提供も受け付けているので、下記「都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧」を参照していただきたい。
アダルトサイトの不当請求や架空請求メールによる被害などは、振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)の返還対象になっており、凍結した口座や残高の情報は、下記「振り込め詐欺救済法に基づく公告」のページで確認できる。
(2015/04/28 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・アダルトサイトの相談が年間で10万件を突破!(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20150423_1.html
・全国の消費生活センター等(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/map/index.html
・警察総合相談電話番号(警察庁)
https://www.npa.go.jp/safetylife/soudan/madoguchi.htm
・都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧(警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/soudan.htm
・振り込め詐欺救済法に基づく公告(預金保険機構)
http://furikomesagi.dic.go.jp/