偽の警告を表示して怪しいソフトウェアなどを購入させようとする詐欺に、日本人を狙った新たな手口が加わった。ユーザーに電話をかけさせる手口だ。
Webサイトの閲覧中に「あなたのコンピュータでウイルスが見つかりました」などの警告が表示され、指定した電話番号に電話して除去するよう促すメッセージと女性の声が流れたとの情報が、今月に入ってからQ&Aサイトなどに多数書き込まれている。偽のセキュリティソフトやメンテナンスソフトをインストールさせようとしたり、購入サイトへと誘導しようとしたりするケースは多いが、電話させようとするのは珍しい。
●女性オペレータが対応、「遠隔操作ソフト」ダウンロードを促す
記載された電話番号は、「03」ではじまる都内のものだが、転送電話になっているようで、しばらくすると女性のオペレータが出て片言の日本語で対応する。
電話口の女性は、Windowsの「ファイル名を指定して実行」のダイアログボックスを表示する操作を指示し、読み上げたURLをそこに入力し開くよう促す。指示通りに操作するとブラウザが起動し、「TeamViewer」という遠隔操作ソフトのダウンロードページが開く。電話口の女性は、これをインストールさせようとするのだ。
この遠隔操作ソフトは、インターネット経由でパソコンを操作したり監視したりするためのもので、それ自体は怪しいものではない。特別な知識がなくても最小限の操作でインターネット経由の遠隔操が行える、たいへんよくできたソフトだ。実際にユーザーサポートに利用されることもあるようだが、何が起きるかは相手次第だ。
外部からアクセスして来た相手にパソコンの全権を委ねてしまう性格のものなので、悪用されると、ソフトウェアのインストールや設定変更、データの窃取などの被害が発生するおそれがある。ひところ、遠隔操作でプロバイダを勝手に変更してしまう悪質な業者が問題になったが、彼らがユーザーにインストールさせていたのも、手軽に使えるこの遠隔操作ソフトだった。
今回の事例では、有料サポートを契約させるのが目的だったようだが、このような悪質な手口で忍び寄る怪しい業者に騙されないよう、くれぐれも注意していただきたい。
(2015/05/27 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・その警告表示はソフトウェア購入へ誘導されるかも知れません(IPA)
http://www.ipa.go.jp/security/txt/2015/02outline.html
・遠隔操作ソフトは利用目的を理解してインストールを! (IPA)
http://www.ipa.go.jp/security/txt/2014/11outline.html
・相談激増!遠隔操作によるプロバイダ変更勧誘トラブルにご注意(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20140918_1.html