国民生活センターは18日、有名女優が使っているという化粧品の広告をSNS(ソーシャルネットワークサービス)で見て注文した人が、海外の詐欺的事業者とのトラブルに巻き込まれるなど、SNSの広告や投稿をきっかけとしたトラブルが急増しているとして、注意を呼びかけた。
同センターによると、トラブル相談の内容は、「実際に注文した分の数倍の金額を請求された」「業者からの返信が英語で、解約交渉が十分にできない」というもの。海外の詐欺的事業者とのトラブル相談を受け付ける同センター越境消費者センター(Cross-Border Consumer Center Japan: CCJ)では、今年6月には約10件だったこうした相談が、7月には約300件に急増したという。
同センターは、実際にあった相談事例を挙げ、消費者に注意するべき点をアドバイスしている。
■事例1:テレビ局運営かたるサイトにリンク、5千円が4万円に
SNSの広告をクリックすると、テレビ局運営をかたるサイトに飛び、有名女優も使っているという「数週間でシワが消える化粧品」が約5000円で買えると紹介されていた。購入手続きに進むと、個数や金額を確認できないまま注文確定画面になった。カード会社に確認すると約4万円もの金額になっていた。キャンセルのメールを送ったが、返信が英語で内容がわからず、不安である。(2015年7月、50代女性)
■事例2:注文を中止したのにキャンセルできず高額請求
SNSで「化粧品を期間限定で安く買える」という投稿を見て、リンク先ページで個人情報・カード情報を入力し次の画面に進んだ。別の商品の注文追加画面が2回出て、仕方なく商品を選択したが、金額表示が出ない。不審に思って途中で画面を閉じて注文は中止したはずが、事業者から「商品を3つ受注・発送した」というメールが届いた。解約希望を事業者にメールすると不自然な日本語で「商品代の半額か解約手数料を払ってほしい」との返信があった。カード会社に確認すると、約4万円もの金額になっていた。(2015年7月、40代女性)
■注意1:SNSの広告を鵜呑みにしない
よく利用するSNS等に広告が出ていたから、あるいは芸能人が使っていると通販サイトに書かれていたからなどという理由で、安易に信用し契約してはいけない。通販を利用する際は、通販サイト上に「特定商取引法に基づく表記」があるかどうかをチェックしたい。事業者の名称、代表者または責任者の氏名・住所・電話番号などの連絡先、返品に関する事項などが明記されている。これらの表記が無い場合は怪しいサイトということになるが、「事例1」のようにテレビ局の公式サイトの体裁を装うなど悪質な場合は、この方法でも判断できない。同センターは、信用性が確認できないサイトで商品を注文したり、カード情報を入力したりしないことが大切だとしている。
■注意2:海外事業者とのトラブルは解決困難
通販サイトが日本語で書かれていたため日本の事業者だと思って注文したものの、実際には海外の事業者だったというケースがある。海外事業者の場合、所在地や連絡先が確認できない、日本語でやりとりできないなど、トラブルになった際のトラブル解決が難しくなりがちだ。ネット通販で買い物をするときには、事業者の所在地が海外である可能性も視野に入れて購入を検討するよう、同センターは注意を促している。
(2015/08/19 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・SNSの広告で購入した化粧品で思わぬ請求が!-日本語のサイトでも契約先は海外の詐欺的事業者!?-[PDF](国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20150818_1.pdf
・悪質な海外ウェブサイト一覧(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/adjustments/index_1.html#m03