クリックしたらいきなり会員登録され、料金を請求される「ワンクリック詐欺」。十年以上にわたって手口を変えつつ、えんえんと続いているこのワンクリック詐欺に、忘れかけていたオーソドックスな手口が復活している。
昨今の「ワンクリック詐欺」は、「ワンクリック」と言いつつも、実際には何度かクリックさせたり、年齢確認や規約の同意を求めたり、さらには視聴用のプレーヤーと称して怪しいソフト(実は請求画面を表示するマルウェア)をインストールさせたりと、さまざまな手口が用いられている。今やワンクリックではとうてい済まない状況だが、当初のワンクリック詐欺は、まさに「ワンクリック」で完結していた。メールやWebサイトのリンクをクリックするだけで、いきなり会員登録され料金を請求されたのだ。
こうしたやり方では契約は成立しないということが広く知られるようになると、同意や確認を求めるそれらしい手順が追加され、文字通りの「ワンクリック」は絶滅した。ターゲットがパソコンから携帯電話やスマートフォンにシフトするに連れて、登録完了までの操作は簡略化してきたが、それでも年齢確認を残したツークリック仕様までだった。ところが、とうとうこの年齢確認すらない、詐欺サイトが復活したのだ。
シマンテックが26日付の公式ブログで「ゼロクリック詐欺」として紹介しているのが、Webサイトのリンクをクリックするだけで会員登録されてしまう、この元祖ワンクリック詐欺だ。
■確認なしでいきなり登録
このワンクリック詐欺で唯一のクリック(タップ)となるのが、アダルト動画一覧からの選択だ。クリックすると「動画再生の準備が完了いたしました」という画面が一瞬表示され、次の瞬間には「会員登録完了」画面が登場。16万円や14万円の支払いを要求してくる、昔ながらの仕掛けだ。
当時の詐欺サイトと違い、送金先の住所や振込先の口座は明記しておらず、電話をかけさせようとするところは今風だ。支払い要求のポップアップ画面に[OK]すると(ほかに選択肢はない)、発信元の番号を必ず通知する「186」付きで電話をかけさせようとする。
昨今のこうした詐欺は、相手に連絡させるのが攻略の第一歩なので、決して連絡してはいけない。脅しや甘い言葉に惑わされることなく無視していただきたい。不安に思ったりトラブルにあったりした場合には、最寄りの消費生活センター等に相談していただきたい。最寄りの窓口は、全国共通の電話番号「188」で案内している。
■ギフト券の普及で請求金額が高騰
詐欺対策の一環としてATMに振り込み限度額が設定されるようになってからは、10万円未満がワンクリック詐欺の請求金額の定番となっていた。ところが最近は、10万円以上に設定しているところが増えている。コンビニなどで販売されているオンラインサービスのプリペイド方式のギフト券を購入させ、券の番号を連絡させるやり方で金銭をだまし取ろうとしているのだろう。ワンクリック詐欺に限らず、ギフト券を支払手段に悪用する詐欺が昨年あたりから増えている。支払いにギフト券を要求されたら、100%詐欺だと思っていただきたい。
(2016/01/28 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・日本語のゼロクリック詐欺が登場(シマンテック)
http://www.symantec.com/connect/ja/node/3563951
・プリカ詐欺に注意!
http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/preca-sagi.html
・Amazonギフト券を不正に取得しようとする詐欺にご注意ください
https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201541660
・消費者ホットライン
http://www.caa.go.jp/region/shohisha_hotline.html