架空請求の被害が後を絶たない。昨年12月に報道されたケースでは、「有料サイトの利用料金が未納になっている」というメールを受け取った千葉県柏市の男性が、記載されていた電話番号に連絡を取ってしまい、何度も金を要求されて計2230万円をだまし取られている。
■メールやSMS、郵便物で請求、「音声ガイダンス」使う手口も
国民生活センターによると、架空請求の名目はアダルト情報番組の利用料が多く、請求手段はメール、SMS(ショートメッセージサービス、電話番号を用いたメール)、はがきや封書など。新たに「音声ガイダンス」を使った手口も確認されており、同センターが注意を呼びかけている。
同センターによると、70歳代の男性が、携帯電話に着信があったためかけ直したところ、「動画コンテンツに登録し料金を滞納している。支払わなければ民事訴訟を起こす」という音声ガイダンスが流れた。「料金を知りたい方は1を、心当たりのない人は2を」と言われたので「2」を押したところ電話が繋がり、いきなり名前を聞かれ、先方の名前を尋ねると電話を切られたという。
この手口をめぐっては、昨年11月頃から質問サイトに、「着信履歴を見てつい電話してしまった。どうしたらいいかわからない」「名前を教えてしまったので不安だ」などの投稿が寄せられている。
国民生活センターでは、「訴訟を起こす」などと言われ不安になっても決して金銭の要求に応じず、覚えのない請求は無視するようにとアドバイスしている。非通知や見知らぬ電話番号に出たりかけ直したりしないことも大切だ。
■「裁判所」や「少額訴訟」を偽装・悪用する架空請求
架空請求をめぐってはさまざまな機関や団体が注意を呼びかけており、消費者ができる対策として、支払わずに放置すること、脅し文句にひるまないようにすること、請求内容に不安がある場合も相手に連絡はせず、料金を支払う前にまず消費生活センターに相談すること等をアドバイスしている。
気をつけたいのが「裁判所からの支払督促」や「少額訴訟の呼出状」と思われるものが届いた場合だ。同センターは、書類の真偽の判断が難しいので、放置せず、すぐに消費生活センターに相談するようにと呼びかけている。書類が本物だった場合、これらを放置して何も対応をしなかった場合には、不利益を受けるおそれがあるためだ。支払督促手続や少額訴訟手続を仮装、悪用する架空請求については、法務省や裁判所からも注意が呼びかけられている。この手口は最近始まったものではなく、富山地方裁判所・富山家庭裁判所では2005年の時点で注意を呼びかけている。
「裁判所」から書類が届いた場合、封筒や書類に記載されている電話番号に電話をしてはいけない。裁判所名と住所を記載した上で、ウソの電話番号を載せている可能性もあるからだ。本当の裁判所からの通知であるかどうかの見分け方と、本物であると確認できた場合の対処法については、下記【関連URL】をご覧いただきたい。なお、消費生活センター等に相談したい場合は、消費者ホットライン(局番なしの188)に電話すると最寄りの相談窓口を教えてもらえる。
(2016/01/15 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・音声ガイダンスを利用した架空請求に気をつけて(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen242.html
・各種相談の件数や傾向 架空請求(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/kakuseikyu.html
・悪質な「利用した覚えのない請求」が横行しています(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/twoshotto.html
・督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求にご注意ください(法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji68.html
・督促手続・少額訴訟Q&A(法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji68-3.html
・裁判所を悪用した架空請求事件にご用心(裁判所)
http://www.courts.go.jp/toyama/about/osirase/20050705/
・消費者ホットライン(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/region/shohisha_hotline.html