旅行サイトでホテルを予約し確認メールも届いていたのに、現地に行ったら予約が取れていなかったなどというトラブル相談が、5年前の約2倍に増加していることがわかった。海外事業者が運営する旅行サイトでのトラブル相談も多いとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。
同センターによると、旅行に関するトラブルの相談件数は、2015年度には全体で3545件あり、そのうち半数近い1669件がインターネットで予約した旅行に関するものだった。2011年度の数値を見ると、インターネットで予約した旅行のトラブルは836件(全体は3094件)であり、この5年間で約2倍に増加したことになる。
■トラブル事例--システムエラーや倒産、日本語が通じない例など
同センターは、次の7件の相談事例を紹介している。
(1) 海外事業者が運営する旅行サイト(以下、海外旅行サイトと略記)で海外のホテルを予約し、予約確認メールも受け取っていたが、ホテルに到着すると、「予約が入っていないので宿泊できない」と言われた。別のホテルを夜中まで探し回って確保したが、ハイシーズン中の当日予約となったため高額な料金になってしまった。(2016年1月、40代女性、東京都)
(2) 国内の旅行サイトで航空券を購入しようと、支払画面でクレジットカード番号等を入力。「完了」ボタンを押したところ、「混雑しているため、時間が経ってから再度やり直してください」というエラー表示が出た。予約確認メールも届かなかったので、別途、航空会社のサイトから直接航空券を購入した。後日、最初の予約と二重予約になっていることが判明したが、航空会社に「キャンセルはできない」と言われた。(2015年12月、20代女性、東京都)
(3) 新婚旅行のため海外旅行サイトで航空券とホテルを予約。部屋は水上コテージのAタイプを選んだが、予約確認メールを見ると違うタイプになっていた。同サイトで再度試してみると、最初にAタイプを選んでも、予約直前の画面では違う部屋になってしまう事象が何度も起きた。旅行サイトは「変更も返金もできない」というが、水上コテージに泊まるのが長年の夢だったので納得できない。(2015年10月、30代男性、大阪府)
(4) 国内の旅行サイトで往復の国内航空券を予約してすぐ、「翌日までに入金してほしい」というメールが来たので、代金を振込んだ。最近、その旅行サイトと連絡が取れないという情報をネットで見て、急いで事業者に電話をしたが、つながらない。出発は1週間後だが、航空券の予約が取れているかどうかも分からない。(2015年4月、20代女性、埼玉県)
(5) 国内の旅行サイトで半年後の海外旅行の航空券を申し込んだ。「支払期限が迫っている」と記載されていたので、焦って規約をよく読まず、代金をカード決済した。翌日、別の便に変更しようと思い規約を読んだら、「取消しには代金の50%の手数料が発生する」とある。旅行まで半年もあり、契約から1日しか経っていないので納得できない。(2016年2月、50代男性、愛知県)
(6) 海外旅行サイトで航空券を予約。予約確認メールを見て姓と名が逆になっていることに気づき、訂正のため改めて同サイトを確認したところ、予約画面は日本語表示だが、「問合せは英語でのみ」とある。仕方なく問合せ窓口に電話し、片言の英語で名前の間違いを伝えたが、相手の言っていることが分からなかった。(2016年2月、40代女性、広島県)
(7) 海外旅行サイトで航空券とホテルを予約。後日、同サイトから「フライトスケジュールが変更になった」とメールがあったため、電話でキャンセル手続きをした。その際「全額返金する」と言われたので安心して解約したが、ホテル代金が返金されない。同サイトに連絡すると「たしかに全額返金と伝えたが、それは誤りで、正しくは航空券代のみの返金である」と言われた。(2015年1月、20代女性、高知県)
■問題点とアドバイス--旅行事業者、契約条件、予約内容の確認を
上記の(1)~(3)については、旅行サイト側のシステムエラーなどが原因で、消費者に落ち度はないと考えられるが、消費者側で原因がシステムエラーだった証拠を示すことは難しいため、トラブル解決が難しい。(4)のように事業者が倒産したケースでは、「旅行業法」で一定程度守られるが、代金の全額払い戻しは難しい。(6)(7)のような海外旅行サイトでは、コミュニケーションをとるのが難しい場合、トラブルの際に日本の法律を用いた交渉が難しい場合がある。
同センターはそうした問題点を指摘したうえで、次のアドバイスをしている。
・契約前に、旅行サイトの所在地情報(どこの国か等)を確認する。
・申込み完了前に、解約料等の契約条件や予約内容をよく確認する。
・契約後に送付される予約確認メールは旅行が終わるまで保管し、申込時の予約内容が確認できる画面も印刷して保管しておく。
国内旅行サイトの場合、運営事業者が「旅行業法」の登録があるかどうか確認しておきたい。海外旅行サイトの場合は、顧客対応窓口への連絡手段や日本語対応OKかどうか等を確認しておく。海外旅行サイトでは、トラブルになった際、日本の法律を用いた交渉は難しいことを知っておこう。
旅行サイトで販売されるツアー、航空券やホテルは、それぞれのプランや商品ごとに異なる解約料が設定されており、予約内容を変更できなかったり、変更手数料がかかったりするなど、さまざまな契約条件がある。航空券はいったん登録した内容を変更できないケースが多い。申し込み時には、名前のスペルやメールアドレス、旅行日程等の予約内容など十分に注意して確認したい。最終画面は印刷して保存し、確認メールは旅行が終わるまで保管しておこう。
トラブルになった場合は、消費生活センター等に相談することを、同センターは勧めている。下欄に挙げたPDF資料には、上掲の統計情報や相談内容の詳細とともに、消費者ホットラインや最寄りの消費生活センターなどの連絡先が案内されている。
(2016/09/06 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・インターネットで予約した旅行に関するトラブルにご注意-ホテルに行ったら予約が取れていなかった!?(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160901_1.html
・詳細資料[PDF]
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20160901_1.pdf