アルバイト応募者の本人確認書類を使い、勝手にスマートフォンを契約し、騙し取っていた神奈川県内の男3人が、詐欺容疑で神奈川県警に逮捕されたとのニュースが先週流れた。別の詐欺容疑で摘発されたグループの再逮捕だという。
問題のアルバイトは、荷物を受け取り指定した住所にそのまま転送すると、1回数千円の報酬がもらえるという「荷受代行」「荷物転送」アルバイトである。今年に入ってからツイッターやインスタグラムなどのSNSで広まるとともに、アルバイトをするために送った身分証明書を悪用され勝手に携帯電話が契約されたという被害が、ネット上で聞かれるようになった。夏には、国民生活センターや日本インターネットプロバイダー協会、格安スマホを扱う各社などが注意を呼びかけていた。
振り込め詐欺などの携帯電話を利用した犯罪を防止するために、携帯電話不正利用防止法(携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律)が2005年に制定された。同法では、新規契約の際に本人確認を行うことを義務付けており、ショップなどの対面式契約の場合には、契約者本人が運転免許証などの顔写真付きの本人確認書類を持参し、契約を行うのが原則となっている。
格安スマホ、格安SIMなどと呼ばれているMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)事業者の場合は、オンラインで申し込む非対面契約が多い。この場合の本人確認は、本人確認書類の画像を送り、そこに記載されている住所、氏名あてにスマートフォンなどを送付することで行う。他人の身分証明書を使って契約しても、端末などを受け取ることができないようになっているのだが、アルバイトと思っている当人は、自分名義で契約されたものであることに気づかないまま荷物を転送し、まんまと騙し取られてしまったようだ。
騙し取られた端末は、詐欺などに利用される可能性があり、ひとりで十数台契約された挙句に支払いが滞り、数十万円の請求が来ているという書き込みもある。
MVNO事業者の支払いには、通常、本人名義のクレジットカードも必要で、これもなりすまし防止策のひとつになっている。ところが、国民生活センターの発表によると、別の名義人のクレジットカードを使用した契約が複数確認されているという。チェックが甘かったのか、抜け道があったのかは不明だが、運転免許証や健康保険証などの本人確認に有効な書類の画像や記載事項、クレジットカードや銀行口座などの情報を安易に伝えないようくれぐれも注意し、困ったときは、すぐに最寄りの消費生活相談窓口(局番なしの「188」)相談するようにしていただきたい。
(2016/10/26 ネットセキュリティニュース)
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・「荷受代行」・「荷物転送」アルバイトにご注意!(速報)(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160722_1.html
・「荷受代行」・「荷物転送」アルバイトにご注意ください。(日本インターネットプロバイダー協会)
https://www.jaipa.or.jp/topics/2016/08/post-3.php
・「荷受代行」・「荷物転送」アルバイトにご注意ください。(テレコムサービス協会MVNO委員会)
http://www.telesa.or.jp/committee/mvno_new/rel20160805_01
・「荷受代行」・「荷物転送」アルバイトにご注意!国民生活センターより注意喚起(ソニーネットワークコミュニケーションズ)
http://www.so-net.ne.jp/info/2016/op20160726_0034.html