持ち主に無断でスマートフォンに監視アプリをインストールし、情報を盗み見ようとする事件が相次いでいるとして、IPA(情報処理推進機構)は7日、スマートフォンには必ず画面ロックの設定をするよう呼びかけた。
■監視アプリ悪用でメールや画像を盗み見
IPAは一例として、静岡市の男性が先月25日、知人女性のスマートフォン(以下、スマホ)に無断で監視アプリをインストールし、不正指令電磁的記録供用の容疑で書類送検された事件を挙げている。押収した男性のパソコンからは、女性のスマホから不正に転送したメールや画像データなどが発見されたという。
IPAは2014年5月にも、同じ趣旨の呼びかけ(あなたのスマートフォン、のぞかれていませんか?)をしている。このときは同年4月に、元交際相手のスマホに無断で監視アプリをインストールし、覗き見や不正操作をしたとして広島市の男性が逮捕されており、その事件を受けてのものだった。
こうした事件は、被害者が目を離した隙に、画面ロックが設定されていないスマホを操作して無断で監視アプリがインストールされたのが原因として、IPAはスマホの画面ロックを必ず設定するよう呼びかけている。
■監視アプリの瞠目の機能――無断インストールは犯罪
監視アプリはスマホの紛失・盗難対策用として作られたもので、事前にインストールしておくことで、紛失・盗難時に、GPS(位置情報)の取得、画面ロックやデータ削除などが可能となる。しかし、それが悪用されることで、本来の持ち主の日常生活を監視し、プライバシーを侵害するスパイアプリとなってしまう。
監視アプリは、GPSだけでなく、アドレス帳、通話履歴、SMS(ショートメッセージ)、画像データなどの情報を、パソコンから取得して監視できる。周囲の音声録音や写真撮影をし、指定したメールアドレスに送信することもできる。LINEのメッセージのやりとりを閲覧できるものもある。これらの情報が、自分が知らないまま第三者に取得されることを許容できる人はいないだろう。実際、持ち主に無断で監視アプリをインストールすることは違法(不正指令電磁的記録供用)で、実行すれば犯罪となる。
■スマホの「画面ロック」設定を
IPAは、監視アプリ悪用による被害は、「スマホを他者に操作させない」ことで防げるとし、スマホには必ず画面ロックを設定するよう呼びかける。画面ロックにより、自分以外はスマホを操作できなくなり、不正アプリのインストールといった不正な操作を防ぐことができる。2014年の呼びかけでは、画面ロックの手順として以下を参考に挙げ、パスワードは複雑なものを設定するようアドバイスしている。
・Android 4.2.2の場合:ホーム画面の「設定」→「セキュリティ」→「画面のロック」→「パスワード」の順にタップ。
・iOS 7.1.1の場合: ホーム画面の「設定」→「パスコード(場合によっては、「Touch IDとパスコード」)」→「パスコードをオンにする」の順にタップ。「簡単なパスコード」を「オフ」にすることで、複雑なパスワードを設定できる。
IPAの意識調査では、スマホの画面ロックを設定している割合は2割程度に悪化しているという。利用の度に行う認証解除はたしかに面倒ではあるが、スマホの紛失や盗難の備えとしても重要な意味を持つため、迷わず設定することをお勧めする。
(2016/12/08 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:IPA】
・他者が勝手に操作できないようスマートフォンには必ず画面ロックの設定を
http://www.ipa.go.jp/security/anshin/mgdayori20161207.html
・2014年5月の呼びかけ[PDF]
http://www.ipa.go.jp/files/000038621.pdf