「パソコンがウイルスに感染した」などの偽警告を画面に表示させ、サポート名目で金銭をだまし取ろうとする詐欺で、だましの手法が巧妙さを増している。情報処理推進機構(IPA)は、その最新の手口を紹介するとともに、被害を避けるための対策を学ぶ動画を公開している。
IPAによると、同機構の安心相談窓口には偽警告に関する相談が多数寄せられており、2016年8月以降は毎月、200件以上となっている。IPAが確認した最新の手口では、パソコンが正常に操作できなくなったと錯覚させる以下のような細工が施されていた。
・マウスのポインターが画面上で移動するアニメーションを表示させる。同時に、ユーザーが実際に使用しているマウスのポインターを非表示にしているため、パソコンが乗っ取られてポインターが勝手に動いているように見えてしまう。
・「Windows Defender」の警告画面のような画像を表示させる。Windows Defenderは、Windows OSに標準搭載されているマルウェア対策ソフト。
・ブラウザを全画面表示にする。デスクトップに置いてあるアイコンやタスクバーが隠れるため、これらが消失したように錯覚してしまう。同時にマウスの右クリックでメニューが表示されないようにする。パソコンが操作不能になったと思わせるねらいがあるとみられる。
・全画面表示に切り替わると、上部に、マイクロソフトのサイトにアクセスしているように見せかけたアドレスバーの画像が表示される。
これらを次々と見せられると、知識のない方なら、マイクロソフトの本物の警告やサポート窓口であると思ってしまうだろう。
IPAは、今後も巧妙に手を変え品を変え、異なる画面やメッセージを表示させ、電話に誘導する手口が変化していくだろうと指摘している。インターネット利用中に“ウイルスに感染”、“個人情報の流出”などといった警告メッセージと共に電話番号が表示された際には、その電話番号に電話はせずに、IPAなどの公的機関の相談窓口に相談するようにと呼びかけている。
また同機構では、パソコン一般利用者向けに、偽警告の手口と対処法をわかりやすく説明した動画「その警告メッセージ、信じて大丈夫? -ブラウザの"偽警告"にご用心!」を公開している。パソコンを使い始めたばかりの方には、とくに視聴をおすすめしたい。動画では、電話をかけて有料サポートの契約をしてしまった場合の対策も説明されている。
(2017/04/14 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:IPA】
・偽警告で、また新たな手口が出現~パソコンが正常に操作できなくなったと錯覚させる多数の狡猾な細工~
http://www.ipa.go.jp/security/anshin/mgdayori20170329.html
・情報セキュリティ啓発映像 偽警告
http://www.ipa.go.jp/security/keihatsu/videos/20170403-1.html
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