東京都は4月28日、アダルトサイトのワンクリック詐欺被害者に「当社が解決に向けて動くことができます。」などと告げて契約を結んでいた探偵事業者に、是正勧告を行った。
勧告を受けたのは、リサーチソリューション(東京都渋谷区)。都によると、同社は「消費者トラブル調査相談センター」という名称を使い、インターネット上に「悪質な被害は解決できます。ワンクリック詐欺専門の相談員が親身になって無料でご相談にのります。」などという広告を掲載していた。
それを見て相談してきた詐欺被害者に、探偵業務の調査だけでは解決することができない業務内容であるにもかかわらず、「架空請求の相手事業者は、法的措置を裁判所にするために動いています。当社が解決に向けて動くことができます。」などと告げて、契約の締結を勧誘していた。また、勧誘に際して「事業者から間違いなく請求がきます。支払わなければ訴訟になります。」「今からすぐに動かないと間に合わない。」などと言って不安をあおっていた。
同社は2015年10月に設立。同社に関して都には、2015年度に9件、2016年度に124件、今年度には1件、相談が寄せられていた。平均契約額は5万7382円で最大額は21万6000円。相談者の平均年齢は47.6歳で、最高は81歳だった。
都は同社に、5月19日までに勧告内容に対する改善措置を報告するよう求めている。
■探偵業者や行政書士は解約や返金などの交渉を行う権限がない
国民生活センターや全国の消費生活センター等には、「アダルトサイトとのトラブル解決」をうたう探偵業者に関する相談が多数寄せられており、2016年4月から11月までの期間だけでも、4191件にのぼる。
警視庁はホームページで、こうした悪質な探偵業者について以下のように解説し、注意を呼びかけている。
・探偵業務では、アダルトサイト運営会社などの所在調査や張込み等の実地の調査をしてその結果を報告することはできるが、それだけで不当請求を根本的に解決することはできない。そのため、契約書には「企業調査」や「サイト運営会社の調査」とだけ記載し、書面上、不当請求を止めさせることや被害解決について触れることはない。
・報酬を得る目的で、被害金の返還請求をする行為は、弁護士等の資格が必要になり、資格がない者が行えば処罰の対象となる。そのため、契約書には「□□会社の調査」や「企業調査」とだけ記載し、書面上、返金について触れることはない。
・実際に探偵業者と契約した場合、探偵業者から被害金の返還請求が行われることはない。探偵業者は詐欺罪に問われないよう、適当に作成した報告書を依頼者に送りつけ、契約を履行したと主張する。報告書の内容は、会社の所在地まで行き外観を撮影したもので構成され、依頼者にとっては何の役にも立たない。
また、行政書士がホームページでアダルトサイトとのトラブル解決をうたっているケースもあり、国民生活センターが注意を呼びかけている。行政書士会連合会も、この件について会長談話を公表している。
■架空請求は「無視」が最善、心配なら「局番なしの188」へ
架空請求は無視するのが最善だが、心配な方は、消費者ホットライン(局番なしの188)に相談しよう。地方公共団体が設置している、身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してもらえる。通話料金はかかるが、相談は無料だ。
消費者庁のチラシには、「188」につながった後の案内の流れも掲載されている。
(2017/05/11 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・アダルトサイトのワンクリック詐欺などの解決をうたう探偵事業者に是正勧告(東京都)
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/shobun/shobun170428.html
・「アダルトサイトとのトラブル解決」をうたう探偵業者にご注意!(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20161215_1.html
・詐欺被害の解決・返金をうたう探偵業者(警視庁)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/higai/tantei_trouble.html
・アダルトサイトとの解約交渉を行政書士はできません!(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20150514_1.html
・【会長談話】行政書士の消費者トラブルについて(日本行政書士連合会)
https://www.gyosei.or.jp/news/info/ni-20150515.html
・チラシ 「消費者ホットライン」188[PDF](消費者庁)
http://www.caa.go.jp/region/pdf/150624_kouhyou_1.pdf