持ち主の代わりに荷物を受け取る「荷受代行アルバイト」のトラブル相談が寄せられているとして、東京都は5月26日、消費者注意情報を公開して注意を呼びかけた。非対面のオンライン契約で本人確認する危うさが露呈したもので、運転免許証や健康保険証などの画像の取り扱いに十分注意したい。
「荷受代行アルバイト」は、自宅に届く荷物を受け取り、指定の場所に転送したり荷物を回収に来た人に渡したりすると、1回数千円の報酬がもらえるというもの。アルバイトをするために送った運転免許証などの本人確認書類が悪用され、勝手にスマートフォンを契約して騙し取られる被害が多発し、国民生活センターなどが昨夏、注意を呼びかけていた。昨年10月、別の詐欺容疑で摘発された神奈川県内のグループが、この荷受代行アルバイトにも関わっていたとして逮捕されており、都によると、その後は相談が減少していたという。それが、5月から再び複数件の相談が寄せられ始めているそうだ。
■面接で提示した免許証が悪用されトラブルに
都の注意情報によると、20代の女性が地域コミュニティアプリに掲示されていたアルバイト募集情報に応募し担当者に会ったところ、住所、氏名を確認する必要があると言われて免許証の提示を求められ、担当者がそれをカメラで撮影したという。その後、自分宛にスマートフォンや健康食品、化粧品が届き、その都度荷物を回収に来た人に渡して報酬を受け取っていた。2か月後、自分宛てに請求書が届き、ようやくおかしいことに気付きアルバイトの担当者に連絡をしたが、すでに電話はつながらなくなっていたそうだ。自分名義で代金後払いの商品が勝手に購入され、それが自宅に届けられていたのだが、そうとは知らずに商品を渡しだまし取られてしまった。携帯電話会社7社、通信販売会社20社から請求された代金は、総額約100万円にのぼるという。
■地域コミュニティアプリに潜む危険
地域コミュニティアプリは、「メルカリ アッテ」や「まちトーク」などの地域情報をやりとりする掲示板アプリのこと。仲間の募集や地域活動の告知などが自由に行えて人気な反面、怪しい相手も紛れ込んでおり詐欺に利用されることもある。都は、コンビニや郵便局留めで荷物が受け取れる時代に、一般の人が見ず知らずの個人に受取代行を頼むことはないということや、騙された人の名義で契約されたスマートフォンが犯罪に使われるなど犯罪行為に加担してしまうこともあるとして、注意するよう呼びかけている。
非対面のオンライン契約では、提示された運転免許証などの本人確認書類が本物であることの確認や、顔写真と本人とを見比べるようなことは行われない。本人確認書類は、窓口では受け付けてくれないコピー画像でよく、そこに記載されている住所、氏名と、書類や荷物の送付先が合致していれば、たいてい書類に記載された人物の申し込みとして処理される。実に危ういシステムだが、それでも本人名義で契約した商品・サービスとして支払い義務を負ってしまう。
このような危うい世界で勝手に使われてしまうことがあるので、運転免許証や健康保険証などの本人確認に有効な書類の画像や記載事項、クレジットカードや銀行口座などの情報を安易に伝えないよう注意したい。少しでも怪しいと思ったときや困ったことが起きたときには、ひとりで対処しようとせず、家族や知人に相談しよう。最寄りの消費生活相談窓口(局番なしの「188」)でも無料で相談を受け付けている。
(2017/06/01 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・荷受け代行アルバイトに注意?~知らない間に自分名義で契約されたスマホやサプリの代金を請求された!~(東京都)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/kinkyu/170526.html
・「荷受代行」・「荷物転送」アルバイトにご注意!(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160722_1.html
・「荷受代行」・「荷物転送」アルバイトにご注意!国民生活センターより注意喚起(So-net)
http://www.so-net.ne.jp/info/2016/op20160726_0034.html
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