消費者庁は5日、若者などをターゲットに、SNSで声をかけて喫茶店などに誘い出し「必ず儲かる」などと言って、高額な投資情報提供サービスや投資用DVD購入の契約をさせるトラブルが後を絶たないとして注意を呼びかけた。
■SNSで「お友達になって下さい」「会いましょう」――投資話で100万円契約
消費者庁によると、この手口では突然、見知らぬ人からSNSで「お友達になって下さい」とメッセージが届き、その後、「会いましょう」と誘われる。20歳代の男性会社員は、こうした誘いを受けて自宅近くの喫茶店で会うことになった。しばらくは楽しく世間話をしていたが、その後、株式投資についての話になり、別の人物も現れて投資情報提供サービスの契約を勧められた。
サービスの料金は100万円。「必ず儲かる。一緒に頑張ってみないか」などと2人から長時間執拗に勧誘され、データを見せられるなどするうちに男性は儲かるかもしれないと思うようになり、契約書にサインをしてしまった。情報の通りに売買をしても利益は出ず、メッセージを送っても返信が届かなくなったという。
■SNSで接近、「出張で近くに行くので会いたい」――実は投資情報の「訪問販売」
また、関東経済産業局は同日、株式投資に関する情報メール配信サービス等の訪問販売を行っていた「ONE ROAD」(東京都品川区)に、訪問販売に関する業務の一部を3か月停止するよう命じている。訪問販売というと、家にセールスマンが訪ねてくるようなイメージを持っている方も多いと思うが、特定商取引に関する法律(特定商取引法)では、キャッチセールス、アポイントメントセールスなどセールスマンの訪問がないものも「訪問販売」に含まれている。
同局の公表文によると、処分を受けたONE ROADは上記の手口で、株式投資に関するソフトウェア「ワンアクション」と、株式投資に関する情報メール配信サービスの勧誘を行っていた。認定された違反行為は、勧誘目的等不明示、契約書面の記載不備、商品の効能及び役務の効果に関する不実告知、迷惑勧誘。
公表された事例によると同社の勧誘員は、「春から転勤になるので仲良くしてください」などとSNSでメッセージを送り、何度かメッセージのやり取りをした後に「出張で近くに行くので会いたい」などと呼び出していた。勧誘の際に「この地域で初めての友達だからよろしくお願いします」と言われて断れず、夜遅くまで長時間の勧誘を受けて契約してしまったという人もいる。また、「2~3年後には500万円くらい貯められる」と言われたり、オリンピックの時期には株価が上がるという過去の株価データなどを見せられ「リオオリンピック前の今が買い時。買って損はしない」などと言われたりした人もいた。
■トラブルにあわないためのポイント
消費者庁は、トラブルにあわないためのポイントとして以下をアドバイスしている。
・見知らぬ人からのSNSでの突然の誘いに注意する
・「必ず儲かる」うまい儲け話には注意する
・高額な契約をする前に、周りの人に相談する
こうした手口では、「親や知人には秘密」「先着●名限定」などと言って、その場ですぐに高額な契約をさせようと迫ってくる。不要な場合ははっきりと断ることが大切だが、断り切れずに契約してしまった場合は、すぐに国や自治体の消費者相談窓口に相談しよう。
クーリングオフ期間(訪問販売では契約書面を受け取ってから8日以内)を過ぎていても契約を解除できる場合があるので、あきらめないで相談していただきたい。消費者ホットライン(局番なしの188)に電話すると、身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してもらえる。
(2017/07/13 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・SNSをきっかけとした悪質な訪問販売 注意喚起チラシ[PDF](消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/release/pdf/release_170705_0002.pdf
・特定商取引法違反の訪問販売業者に対する業務停止命令(3か月)及び指示について[PDF](関東経済産業局)
http://www.kanto.meti.go.jp/annai/hodo/data/20170705syokei_syobun.pdf
・「消費者ホットライン」188チラシ[PDF](国民生活センター)
http://www.caa.go.jp/region/pdf/150624_kouhyou_1.pdf
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