消費者庁と東京都は7月6日、「150万円を狙い撃つ方程式」「やることは真似をするだけ!」などと広告して「真似っこビジネス」と称する情報商材を販売し、購入した人に対し執拗に高額の有料コース契約を結ぶよう勧誘するなどしていた「株式会社きれい」(東京都江東区)について、注意を呼びかけた。
同社はSNSやブログに広告を載せるなどして、興味を持った人を自社のWebサイトに誘導。Webサイトには、広田拓海(通称匠のヒロ、またはスピードスター)と称する人物が考案した「真似っこビジネス」を実践すれば、簡単な作業ですぐに高額な収入を得ることができると誤信させるような記載があった。
「真似っこビジネス」の仕組みは、広田拓海が考案したツールとマニュアルを1万5000円で購入して、ネットショップを開設し石けんを売るというもの。ツールの使用方法や収益の受け取り方については、電話で説明を受ける必要がある。同社はこの電話説明の際に、有料コースの契約をすればもっと高い収入が得られるとして、「絶対稼げる」「ダメなら返金制度があるから安心です」などと告げて、5万円から96万円のコース契約を結ぶよう執拗に勧めていた。
同社と契約した人は、教えられたとおり、石けんの売上げにつなげるためにブログやSNSを作成するなどしたが、これらは同社が広告しているように簡単にできるものではなかった。またマニュアルには、96万円の有料コース契約では「月550個~ 月収313万5000円~」などと石けんの売上げの最低額が示され、それ以上の収益が期待できるかのように記載されていたが、このような高額な収益を実際に得た人はいなかった。
石けんが1個も売れなかった人が全額返金を求めると、返金には自社の基準を満たしている必要があると告げられ、中にはSNSで100以上のフォロワー数が必要など、契約者自身の自由にはならない事項もあった。このような細かな基準は契約締結前には示されていなかったという。
さらに、同社がWebサイトや宣伝動画に登場させていた「広田拓海」は俳優に演じさせた架空の人物であり、広田が1日で3万8850円の収益を上げたという動画の内容が虚偽だったこともわかっている。
6日のテレビ朝日の報道によると、同社は約3億円の売り上げを上げたと話しているという。東京都には今月5日までに同社について38件の相談があり、契約額の平均は38.5万円、最高額は100万円だった。
消費者庁は、「誰でも簡単に稼げる」といった甘い言葉にだまされないよう注意を呼びかけている。また、比較的安価な情報商材を販売した後、電話勧誘などで高額の費用を支払わせる手口が見受けられるとして、うまい話はまず疑い、慎重に行動してほしいとしている。不安な点や不審な点、困ったことなどがあれば、最寄りの消費生活センター(電話番号「188」番)や警察相談電話(短縮ダイヤル「#9110」番)に気軽に相談していただきたい。
(2018/07/09 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・「真似っこビジネス」と称する稼ぎ方マニュアルを販売し、その後高額の追加契約をさせる事業者に注意してください(東京都)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/shobun/jirei180706.html
・「真似っこビジネス」などとうたい、多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起[PDF](消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/pdf/consumer_policy_information_180706_0001.pdf