東京都は8月23日、オーディションをきっかけに勧誘されるタレント・モデル契約のトラブルに注意するよう呼びかけた。都には今年4月から8月27日までの間に、オーディションに関連したタレント養成講座やタレント所属契約に関する相談が94件寄せられている。また都は、こうした勧誘を行っていた業者に8月28日、業務の一部停止命令を出した。
都が紹介している相談事例によると、20歳代の男性は求人サイトで「映画に出演できるオーディション」を見つけ、応募して合格。事務所に出向いたところ、半年間50万円のレッスンを受ける必要があると言われて契約した。3週間後に解約を申し出ると、解約はできるが入学金の35万円は支払ってもらうと言われたという。
20歳代の女性は、ファッション雑誌の発行業者がモデルオーディションを行っているとのSNS広告を見て応募。一次審査に合格し、面接を受けに事務所に行ったところ、「事務所に所属したらファッションショーにも出してあげる。レッスン料は無料だが、マネジメント料が55万円かかる」と言われ、契約書にサインしてしまったが解約したいと相談を寄せた。
こうした「オーディション商法」は以前からあり、電話やメールで呼び出して契約を迫るアポイントメントセールスや、街で声をかけて事務所などに連れて行き契約させるキャッチセールスの手口が使われている。近年は、ネット上の広告を見て、あるいはオーディションの情報を検索するなどして、自ら応募したことがトラブルのきっかけとなっていることが多い。
都は、オーディションのために出向いた事務所で「合格です。うちで売り出してあげる」などと言われたとしても、高額な費用がかかるレッスン契約やマネジメント契約を「その場ですぐに結ぶ」ことは止めるようにアドバイスしている。特に、高額な入学金や申込費用を設定している事業者は、解約時にトラブルになりがちなので、注意が必要だという。
また、こうした契約について少しでも不安や疑問を感じた場合は、消費生活センターに相談してほしいと呼びかけている。消費者ホットライン(局番なしの188)に電話すると、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえる。
・すぐにタレントになれると思ったら、高額費用がかかる!?~オーディションをきっかけに勧誘されるタレント・モデル契約のトラブルに注意!~(東京都)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/kinkyu/180823.html
■オーディション商法で勧誘を行っていた業者に業務一部停止命令
都は8月28日、タレント養成会社のクリード(東京都渋谷区)に対し、6か月の業務一部停止命令を出した。また、同社の代表取締役と営業部課長に対し、同じ期間、当該停止を命じた範囲の業務を新たに開始することの禁止を命じた。
同社は、DWE(ドリームワークスエンターテイメント)、Major(メジャー)、Top(トップ)の屋号で、「映画出演」「歌手デビュー」のオーディションサイトを開設。オーディション後の最終面談時に突然レッスンの話を持ち出し、受講契約を結ぶよう勧誘していた。また勧誘の際、オーディション参加者のうち7~8割を最終面談に呼び出していたにもかかわらず、あたかも多数の参加者から特別に選ばれたかのような嘘を告げていた。同社は2016年6月から翌年5月までの間に2億1000万円を売り上げていたという。
同社については2016年度以降、都に76件の相談が寄せられていた。相談者の平均年齢は25歳、平均契約額は80万円だった。
・オーディション商法でレッスン契約を勧誘していた事業者に業務停止命令、代表者等に業務禁止命令(東京都)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/shobun/shobun180828.html
・相談事例(株式会社クリード)(東京都)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/shobun/jirei180828.html
(2018/09/10 ネットセキュリティニュース)