全国銀行協会は7日、「盗難通帳による払出し件数・金額等に関するアンケート結果等について」を公表、インターネットバンキングにおける預金等不正引き出しの状況についても明らかにした。また、日銀は7月に公開したレポートの中で、インターネットバンクを狙った犯罪の手口が巧妙化していると指摘している。
全国銀行協会によると、同協会の正会員・準会員184行において、今年4月から6月までの間に発生した「インターネット・バンキングによる預金等不正引き出し」は3件で、被害金額は1000万円。今年1月から3月までの被害は6件、400万円だったので、件数は減ったものの、1件あたりの被害金額は大きく増加している。
日銀がまとめたレポートによると、インターネットバンキングを対象とした犯罪について、これまでに日本で判明している事件の被害総額は数千万円程度。しかし、海外では米国等を中心に大きな被害が発生しており、いずれ日本も同様の脅威にさらされる可能性があるとしている。
また、犯罪の手口は年々巧妙化しており、これまでの「スパイウェア」や「フィッシング」に加え、ターゲットを絞った攻撃「スピアフィッシング」や、接続先情報を改ざんし偽サイトに誘導する「ファーミング」、無線LANの偽アクセスポイントを使った「エビルツイン(悪魔の双子)」、パソコンを乗っ取る「PCハイジャック」など、さまざまな攻撃方法が見つかっている。
ネットバンクの不正引き出しは預金者保護法の対象外となっているので、金融機関には利用者が受けた被害を補償する義務はない。ネットバンクを利用する際は、そのメリットとデメリットをしっかり理解しておくことが望まれる。
(2006/08/14 ネットセキュリティニュース)
■盗難通帳による払出し件数・金額等に関するアンケート結果等について(全国銀行協会)
http://www.zenginkyo.or.jp/news/18/index180807.html
■インターネットバンキングの安全性を巡る現状と課題(日本銀行)
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/rev06j14.htm