千葉市教育委員会がホームページ(HP)で公開したPDF形式の会議録の黒塗り部分から個人情報などが流出していた問題で、当該PDFが報道後も検索サイトで閲覧できる状態にあったことが1日、編集部の調べで分かった。
検索サイトには、情報収集したサイトのコピーを保持する「キャッシュ」と呼ばれる機能があり、サイトを訪問しなくても検索サイト上で収集時の内容を閲覧できる。市教委がHP上から削除したPDFは複数の検索サイトに登録されており、少なくとも1つの検索サイトでは、1日19時の時点ですべての内容がキャッシュに残っていた。当該検索サイトでは、PDF内の文字情報だけをブラウザで閲覧できるようになっており、黒塗りされた問題箇所は黒塗りが全て取り除かれ、下の文字がそのまま表示された状態にあった。
キャッシュからの二次流出は、2003年に鳥取県のHPから個人情報が流出していた問題で一般にも認識されるようになった。その後も、サーバに不用意に置いた情報が検索エンジンのキャッシュから漏えいする事故がしばしば起きており、HPから削除しただけでは対策にならないことが広く知られている。
キャッシュの削除には統一された方法がなく、わかりにくかったり、サイトによっては手続きが煩雑なこともあって、対処できるまでに数日を要することもある。世界中の検索サイトやアーカイブサイト全てとなると、ファイル共有ソフトを介した情報流出に匹敵する困難な作業になってしまうが、公表までに2~3日の猶予があれば、一般ユーザーが利用する国内の主要検索サイトに対し、適切な措置をとることができる。
市教委は7月31日夕方に連絡を受け、ただちに当該ファイルをHPから削除したが、翌朝には早くも朝日新聞社やNHKが報道。同日午前に開いた記者会見を受けて他社も一斉に報じ、検索サイト対策は後手に回ってしまった。
一次流出は、黒塗りを安全と考え掲載した市教委の認識不足に起因する。二次流出は、HPから削除すれば安全と考え公表した、我々報道する側の認識不足が招いた。より積極的で安全な情報公開に向けて、互いに最善を尽くしたい。
(2006/08/04 ネットセキュリティニュース)
■千葉市教育委員会
http://www.city.chiba.jp/education/
■朝日新聞社
http://www.asahi.com/
■NHK
http://www.nhk.or.jp/