内閣官房知的財産戦略本部「知的創造サイクル専門調査会」は17日、「海賊版販売の広告行為そのもの」を違法行為とする法制度の検討に入った。
同本部では、知的財産保護策の一環として「模倣品・海賊版拡散防止条約」(仮称)を関係各国に提唱し、早期実現に取り組んでいる。今回の法制度は、模倣品・海賊版の流通防止に向けて、国内での取締り強化策として検討されているもので、施行されれば、商標権・意匠権などの他の知的財産権と同様、著作権法においても海賊版販売の広告行為そのものが権利侵害行為とみなされることになる。
インターネットを利用した海賊版販売行為は今月に入っても摘発が相次いでいる。8日には自らが運営するホームページを通じて、海賊版のゲームソフトを販売していた板橋区の無職男性(43歳)が著作権法違反の疑いで逮捕、15日には「ヤフーオークション」で複数のユーザIDを利用し海賊版出品を繰り返していた高知県須崎市の無職男性(46歳)が同容疑で逮捕された。ほかにも9日に人気アイドルグループ「KAT-TUN」の隠し撮りDVDをホームページで販売していた東京都板橋区の私立女子学生(21歳)が逮捕、人気ロック歌手矢沢永吉さんの編集ビデオをネットオークションで販売した京都府東山区の会社員(42歳)が8日に逮捕されている。販売ルートのうち最も多いのはネットオークションだが、ホームページや掲示板、スパムメールを使うなど、誘導の手口も多様化してきている。
これらの動向に加え、インターネットオークションへ海賊版が出品(販売広告)された場合の、偽ブランド出品(権利侵害)との法律上の取扱いの差が、権利者・オークション事業者による自主対応を困難にしているとの指摘もあり、早期の法制度の整備が望まれている。同調査会では来年初春には方策をとりまとめるとしている。
■知的創造サイクル専門調査会(第7回)議事次第(首相官邸)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/cycle/dai8/8gijisidai.html
■ヤフオクで複数のIDを使い海賊版販売、男性を逮捕(ACCS)
http://www2.accsjp.or.jp/topics/news3.html
■自作ホームページでゲームやビジネスソフトなどの海賊版を販売(ACCS)
http://www2.accsjp.or.jp/news/news061113.html
(2006/11/20 ネットセキュリティニュース)
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