子どもを取り巻く性や暴力に関する情報の氾濫や、ゲームやインターネットにのめり込むことの弊害について調査・対策を検討していた警察庁の「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」は25日、第9回の研究会を開催し、「携帯電話」「ゲーム」「コミック」の3つの課題を柱とした最終報告書を取りまとめ、公表した。
携帯電話については、子どもたちが携帯電話を通じて違法・有害情報にさらされ、危険に直面させられていることを周囲が十分認識することが重要とし、子どもに携帯電話を持たせるかどうかなどについて、保護者や学校などでの議論を呼びかけ、対策についての合意形成を図る。携帯電話がもたらす危険性や、子どもに安全な携帯電話を持たせることの必要性についての理解を深める。子どもが使う携帯電話には、違法・有害情報を規制するフィルタリング機能をつけたものを提供するよう、携帯電話会社や販売店に求めてゆく、といった取り組み強化をあげている。
ゲームについては、のめり込んでゲームから離れられない状況に陥ることがあり、暴力的なシーンなどによって子どもの反社会的な行動や人格の形成が助長されたり、健全な成長に資する活動や体験の機会が損なわれるような危険性にさらされていると指摘。ゲームがもたらす弊害や危険性について、子どもや保護者の理解が深まるよう家庭や学校での指導を強化するとともに、業界団体に対しては子どもを守るための取組を求めていくべきとしている。
コミックについては、子どもを性行為等の対象とした悪質性や反社会性の高いものが見受けられ、特にインターネットで公然と販売されている点を新たな課題として指摘。このような状況を社会全体が危機感をもって認識し、これらコミックが社会に与える悪影響の調査・研究と対応の検討を進めるとともに、業界団体での自主規制や子どもに売らないための対策を強化すべきとしている。
同研究会は、有識者や弁護士、PTA関係者ら16人で構成され、今年4月に発足。5回目の審議となった9月には、緊急課題として「携帯電話のもたらす弊害から子どもを守るために」を取りまとめ、中間報告として公表。11月には、総務大臣から携帯電話会社各社に対し、フィルタリングの普及促進に向けた取組みの強化が要請され、電気通信事業者協会と携帯電話事業者3社が、サービス普及のための具体的な対応内容を発表している。
(2006/12/27 ネットセキュリティニュース)
■バーチャル社会のもたらす弊害 から子どもを守る研究会(警察庁)
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen29/Virtual.htm
■バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守るために 最終報告書[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen29/finalreport.pdf
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