警察庁は22日、2006年のサイバー犯罪(情報技術を利用する犯罪)の検挙状況、および相談状況を発表した。サイバー犯罪の検挙数は4,425件で、前年より40%増加、この5年間では約3.3倍になっていることが分かった。
4,425件のうち、「不正アクセス禁止法違反」は703件で、前年(277件)の約2.5倍。「ネットワークを利用した犯罪」は3,593件で、前年(2,811件)より27.8%増加、「コンピュータ又は電磁的記録を対象とした犯罪」は129件で、前年(73件)より76.7%増加した。
不正アクセス後の行為としては、ネットオークションの不正操作がもっとも多く、次いでオンラインゲームの不正操作、ネットバンキングの不正操作の順となっている。不正アクセスの手口としては、フィッシングサイトを開設し識別符号を入手したものが220件と最も多く(前年1件)、次いでスパイウエア等のプログラムを使って識別符号を入手したものが197件(前年33件)と、高度な技術を悪用したケースの増加が目立った。
サイバー犯罪に関する相談件数は6万1,467件で、前年からは27.0%減少した。その一方で、2005年6月に開設した「インターネット安全・安心相談システム」へのアクセス数は39万3,234件(1日平均1,077件)にも及んだ。質問項目別では「料金請求」へのアクセス数が全項目の54.1%を占めていた。
2006年の特徴としては、「インターネット・オークション詐欺の多発」「児童の性的被害に係わる犯罪の増加」「犯行の組織化、高度化」があげられる。今後の対策としては、高度なサイバー犯罪に対する捜査技術や手法の開発、ネット上での買受け捜査の推進や違法・有害サイト利用者への警告、事業者・団体等との提携による啓発活動等を積極的に行っていくとしている。
(2007/02/23 ネットセキュリティニュース)
■不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(平成18年)[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h18/pdf35.pdf
■平成18年のサイバー犯罪の検挙及び相談状況について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h18/pdf34.pdf
■警察庁 サイバー犯罪対策
http://www.npa.go.jp/cyber/index.html
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